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第8章 中・長距離フェリーの規制緩和後のあり方

1.中・長距離フェリー事業の特性

1)フェリー事業の特性と現況

わが国に長距離フェリーが誕生してからほぼ30年が経過した。昭和43年に神戸〜北九州間(阪九フェリー)にはじめてフェリーが就航した当時は高度経済成長期で、国内貨物輸送量が5年間で倍増するほどであった(表8-1に近畿発着の主な長距離フェリー航路の就航開始時期を示す)。

そして、トラック輸送のシェアが鉄道貨物輸送のシェアを初めて追い抜いたことに象徴されるように、モータリゼーションの波が急激に高まった時期でもあった、しかし、このようなモータリゼーションの高まりに対して道路整備は追いつかず、昭和45年末時点の高速道路の整備キロ数はわずか700km、舗装ずみの国道も27千キロ(現在の約半分)という状態であった。

さらに、労働力不足と人件費の高騰も深刻化しており、輸送力の確保と省力化が求められていた。道路混雑、労働力不足、荷役の省力化といった課題解決方策として、トラックの「ドアツードア」の利便性と海運の「長距離・大量輸送」の低コスト性を結合した手段として、長距離フェリーが導入された。

導入当初のフェリーは貨物(トラック)輸送を主力とし、旅客輸送は重視していなかったが、どのフェリー航路も乗用車や徒歩客の利用が多く、旅客輸送の手段としても大きな役割を果たすようになってきた。このようなニーズを満たすため、昭和46年には宮崎、別府航路に観光客の利用を狙った旅客フェリーが導入された。

こうして、第一船の就航から5年にして、長距離フェリーは年間580万人の旅客を輸送する幹線輸送手段となった。その後、昭和48年の第一次オイルショックによる貨物輸送量の減少や海外旅行の一般化による国内観光客数の伸び悩み等の試練を受けながらも、長距離フェリーは運航距離が約17千キロになるまで成長してきた。

 

表8-1 主な長距離フェリー航路の就航開始時期

 

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