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4.旅客フェリーからRoRo船への転換(事例4)

東京港〜十勝港〜釧路港で旅客フェリーを運航している近海郵船(株)は、平成11年の秋から現在の旅客フェリーを廃止して、RoRo船を新しく運航する計画である。現行の旅客フェリーと新RoRo船の概要は表7-4のとおりである。

現在、当航路に就航している旅客フェリーは同社のパンフレットによると「クルージングフェリー」とよばれており、旅客用の設備が充実している。客室もランクが細分化されており、パブリックスペースとしてレストラン、ショッピングコーナー、プロムナードギャラリー、フォワードサロン、展望浴場などが設置されている。しかし、本船航路の重要な収入源は旅客ではなく貨物であり、「洋上ホテル」と評されるほどの設備を利用する旅客はそれほど多くない。

当社のキャッチフレーズを見ると「21世紀の物流時代を拓くクルージングフェリー」となっており、物流を大きな柱としながら、クルーズ船としての特徴を持たせようとしているが、東京〜北海道区間の旅客輸送は航空の競争力が強く、旅客の利用が減少する傾向が続いている。一方船内でのサービスを充実させるためには、それ相応のコストが必要であり減少する旅客収入では、コストが大きな負担になっていた。

旅客フェリーを運航するかぎり高コストは必然であることから、当社は旅客部門を切り捨てRoRo船による貨物輸送だけに集中するという戦略に踏み切ったものと考えられる。

転換後のRoRo船は、現在運航中の旅客フェリーに比べて船価は約半分、船員やサービス要員も半分以下ですむため、大幅なコストダウンが達成できる。また、当社はすでにRoRo船運航やRoRo船積載の小口貨物混載輸送の実績を持っていることから、RoRo船運航に必要なノウハウもある。

東京〜北海道区間は、貨物流動量が多いため、旅客を切り捨て貨物一本に絞っても収入は確保できるという見通しもあったと考えられる。1隻当たり694名の旅客定員を有するフェリーが2隻廃止されるため、そこから得られる旅客収入がなくなるが、それ以上にコスト削減効果のほうが大きいという判断に基づいてRoRo船へのシフトが決断されたのであろう。

 

表7-4 旅客フェリーからRoRo船への転換の概要

 

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