第7章 他地域の中・長距離フェリー航路における状況変化への対応事例
ここでは、規制緩和後のフェリー事業のあり方の検討にあたって参考となると思われる事例を取りまとめる。事例は、「超高速マイカーフェリー」「高速貨物フェリー」「低コストフェリー」「旅客フェリーからRoRo船への転換」である。
1.超高速マイカーフェリー(事例1)
事例1は、青森港〜函館港間を2時間で結ぶ超高速マイカーフェリーである。この区間には在来船の旅客フェリーも運航しているが、その所要時間は3時間40分であり、超高速フェリーよりも1時間40分所要時間が長い。
超高速フェリー就航船舶の仕様は表7-1のとおりであるが、本船の特徴は車両デッキが主として乗用車積載用となっており、いわば「マイカーフェリー」といえる。限られた旅行日程を有効に活用したいと望む利用者に対し、海上輸送の所要時間を従来の約半分に減らせることを売り物にしている。
北海道旅行のハイシーズン(夏季)は、満船が続きキャンセル待ちもでるほど利用者が多い。当航路は、利用者層をマイカー客及び車なしで乗船する客に絞り込み、高速性をメリットとして利用者を吸引している。
旅客運賃は、在来型フェリーの2等運賃(1,420円)に、座席指定・急行料金が710円プラスされ、2,130円である。乗用車は在来型フェリーが16,510円に対し、超高速フェリーは18,200円である。
超高速フェリーの就航により、青森〜函館間では、乗用車は超高速フェリーへ、トラックは在来フェリーへ、というパターンが定着しつつある、当航路は、中長距離航路におけるひとつの方向性を示すものと考えられる。