3)規制緩和への船社としての対応
規制緩和後の自由競争下でフェリー船社が生き残るためには、「低コスト体制」が不可欠という点で船社の考えは一致している。そのためには、聖域とされる船員人件費についても削減を検討する必要があるという意見もある。フェリーと競合する他の輸送手段と運賃面で対抗して収益を確保するためには、コスト削減がぜひとも必要であると述べる船社は多いが、それ以外の点で規制緩和へどのうように対応するかを検討している船社はそれほど多くない。
フェリー利用量が減少するなかで、当面の対応に追われて規制緩和後の戦略を十分に検討する余裕がないこと、規制緩和に伴う変化を把握しにくいことなどが、規制緩和後の対応を検討しにくい理由と思われる。
したがって、規制緩和後も当分の間は現在の体制のまま(トラック+旅客)で事業を継続するという意向が強い。しかし、旅客輸送量の増加は見込みにくいことから、旅客フェリー航路への貨物フェリーやRoRo船の導入を検討している船社もある(表6-5)。