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るといった動きも生じる可能性があると見られている。事業者へのヒアリングから得たフェリーの需要見通しをまとめると表6-3のとおりである。

表6-3 フェリーの需要見通し

 

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2]自由競争についての見通し

規制緩和によって、フェリー業界での競争は促進されることになり、運賃も自由化されることから、船社の中には、「値下げ競争になって共倒れをまねくのではないか」という声もきかれた。一方、別の船社は「たしかに運賃面での競争は激化すると考えられるが、既に現在でも大幅な割引等を導入しており、事実上自由化に近い」と述べている。船社は「他の業界から安い運賃で参入し、競争に負けて撤退し、後に安い運賃だけが残る」という状況を恐れている。

規制緩和により、他の手段との競争がより激しくなることは間違いないという意見が多い。一方、運賃以外の面での競争はそれほど活発化しないだろうと見込まれている。その理由としては、長距離フェリーの場合、発着時間帯や所要時間は「もうこれ以上変えられない水準」にまで達していること、船内レストランの食事の質や価格については「コストがかかるため、水準を高めることはむずかしい」「より高い水準を求める客がそれを理由にフェリーから離れてもやむ得ない」といった意見があり、利用者の利便性向上やサービス水準の向上などの点で競争が運賃競争ほどには激しくならないと考えられる。自由競争についての見通しをまとめると表6-4のとおりである。

フェリー船社の現在での最大の課題は、利用者の確保とともにコスト削減である。サービス向上により大幅な利用者増が見込まれるならば、サービス向上を実施する船社もあると思われるが、現在の状況ではサービス向上に伴うコストアップに耐えられないという船社が多い。

 

 

 

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