第6章 規制緩和後のフェリー業界の動向(フェリー船社ヒアリング結果)
規制緩和によってフェリー業界に生じると見込まれる変化並びに変化への必要な対応等についてのフェリー船社の意向をヒアリングによって把握した。以下はその要旨である。
1.ヒアリング対象船社
近畿に発着するフェリー航路(1社のみRoRo船航路)の運航船社8社を対象とした。対象船社と航路は、表6-1のとおりである。
(配列は訪問順)
2.ヒアリング結果
1)フェリー業界の現況と今後の見通し
近畿発着の中・長距離フェリー航路を取り巻く環境条件は近年大きく変化しており、それらはフェリー需要を引き下げる方向にはたらいている。
ヒアリング対象の船社においても、フェリー需要の減少は景気低迷だけでなく、高速道路や本四架橋整備といったハード面の影響と航空運賃の引き下げといったソフト面の影響によるところが大きいと見なしている。
例えば、近畿〜九州間の陸上輸送では、山陽自動車道の全線供用により、国道2号、9号、中国自動車道、山陽自動車道の4幹線が利用できる。さらに、景気低迷による輸送量の減少からトラック事業者は貨物確保のために運賃ダンピングを行う者も生じており、コスト切りつめのため通行料不要の一般国道の利用が増加し、フェリーの利用が減少している。
さらに、旅客においても航空運賃の割引率拡大により、利用者の間に割安感が生じており、フェリー利用から航空利用へのシフトが生じている。特に、団体客や修学旅行など、これまでフェリーの顧客であった層の航空へのシフトが目立っている。
フェリー利用には、「ゆっくり休めて疲れない」「事故や渋滞に心配なく定時に到着する」等のメリットがある。しかし、昨今の景気低迷により、フェリーのメリットよりも運賃支出のほ