・このため、港湾物流事業において固定費を削減するためには、日毎の業務の波動性を抑えることが一番の対応方策となるわけであるが、港湾貨物の多くが原材料を中心とした大量少品目物資から消費財を中心とした少量多品目物資となり、迅速な出荷体制の維持が求められる昨今の状況の中では、需要の波動はますます大きくなりつつある。このように問題の解決を個々の港湾物流事業者の対応に期待することはもはや不可能であると言わざるを得ない。
・このような状況下で、固定費を削減しつつ需要の波動性にも柔軟に対応できるようにするためには、複数の港湾物流事業者からなる共同受注体制を構築することにより、個々の事業者が波動性への対応として余分な労働者を抱えなくても済むようにする必要がある。
・具体的には、複数の港湾物流事業者が協同組合を設立し、ある港湾物流事業者では対応できない作業量が出た場合には、その分を協同組合が他の作業能力に余裕のある事業者に斡旋するといった体制が考えられる。
2] 相互融通等による人材の効率的活用
・固定費を削減しつつ需要の波動性にも柔軟に対応できるようにするためには、1]で述べた協同組合方式による受注の斡旋の他にも、企業外労働者を活用する方策も効果的なものとしてあげられる。
・しかしながら、現在の神戸港は、港湾労働法の適用対象港となっていることから、港湾運送事業者などによる常用労働者で港湾労働者証を取得した者が貨物の荷捌き等の作業に従事するのが原則で、需要の多い日に非常勤職員を採用するという方法で対応することは基本的に禁止されている。
・このため、現在規制緩和の一環として中央職業安定審議会等で審議がなされている港湾運送事業者間で常用労働者を直接相互融通ができるような仕組みが期待されているところであるが、これについても労働者派遣法等との関係もあり、早急に実行に移せる段階にはなっていない。
・そこで、当面の方策としては、(財)港湾労働安定協会を経由して行われている常用労働者の相互融通制度を積極的に活用していくこと等により、港湾物流事業者がより少ない常用労働者で事業を行う体制にしていくべきである。
3] 共同化による施設の効率的活用
・港頭地区における船社CFS、上屋、倉庫等各事業施設においては、受注の波動性から時期的に遊休化する場合があり、物流事業者アンケートにおいても特に、倉庫業者は施設の閑散期における施設の活用方策を重要視している結果が得られた。
・このため、事業者相互間で施設の共同利用を行い、これらの施設を効率的に活用することができれば、設備投資等を削減でき、ひいては料金面においても更なる低廉化が期待できる。