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方向性(1)-2.コスト削減

・荷主企業へのアンケート調査において、港頭地区の問題点として、「内陸部よりも施設利用コストが高い」、「内陸部よりも荷役料が高い」との意見が数多く寄せられたことに端的に現れたとおり、荷主企業の港頭地区への要望としてコスト削減は依然として強いものがある。

・また、物流事業者へのアンケート調査でも、港頭地区の素通り化が進展する最大の理由として、内陸部の方がコストが安いことがあげられている。

・この問題については、港湾労働に関する法律的な制約、また労使間における労務上の制約等があり、早急かつ効果的な対策を講ずることは困難ではあるが、サービス内容の向上によりこれを克服することには自ずと限界があり、港頭地区における貨物の素通り化を抑制するためには、コスト削減につながる対策について検討し、実現可能なところから取り組んでいくことが重要である。

・そのための具体的な方向性としては、施設、人材等の効率的運用の推進により荷役作業に伴う固定費を削減することや、個別の貨物の荷姿、数量、荷役形態等に応じたより弾力的な荷役料金を設定することにより、荷主が感じている料金の割高感を緩和すること等が考えられる。

 

《具体的方策》

1] 共同受注等の波動性吸収の仕組みづくり

2] 相互融通等による人材の効率的活用

3] 共同化による施設の効率的活用 

4] 荷役料金の弾力的設定 

 

1] 共同受注等の波動性吸収の仕組みづくり

・港湾荷役作業分野において固定費の削減が進まない大きな原因の一つは、港湾運送には、荷動きが景気等に大きく左右されるのに加え、船舶の運航スケジュールが気象、海象に影響され必ずしも安定的でなく、また、荷役作業の実施自体も天候に左右されるため、荷役作業に対する日毎の需要の差(波動性)が大きくならざるを得ない特徴があり、このような波動性にいつでも対応できる体制を維持するため、個々の港湾物流事業者が平均的な荷役需要に対し必要となる人員よりも多くの労働者を常に抱えてきたからである。

 

 

 

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