日本財団 図書館


1)企業の国際物流構築目的に合致した国際物流基盤・システム構築上の課題

 

企業の国際物流構築上の目的として7つの項目を示した。これに合致するロジスティクスを可能とするには、多様な国際物流基盤・システムが必要である。これら基盤・システムを構築する上での課題は以下の通りである。

 

1]迅速性の確保からみた課題

○臨港・臨空地区からの直接デリバリー機能の強化

時間価値を重視する商品については、大阪港、神戸港や関西国際空港から直接、荷主倉庫、小売店へ配送されるケースがみられる。今後、これら貨物が必要とする流通加工、アセンブル機能を臨空、臨港地域で実施することにより民間企業のニーズに対応した迅速な物流が可能となる。現在、大阪港、神戸港、関西国際空港等では立地用地の確保、立地コスト等の面から民間企業の直接デリバリー機能の立地が十分とは言えない。このため、立地促進等による機能強化を図るための仕組みが必要となる。

○検査・通関等の迅速なスルー体制の強化

わが国では従来から臨港、臨空地区における貨物の滞留時間の長さが指摘され、当該地区の港湾、空港においても時間短縮の努力が払われてきたところである。実際面では貿易書類の到着待ち、短期ストック場所としての利用等、企業の都合から滞留するケースもある。しかしながら、時間価値を重視する貨物については迅速なスルー体制が必要であり、通関予備審査制度等の一層の企業利用促進や、EDI化等体制の強化を図り迅速な消費財スルーを可能とする仕組みが必要となる。

○国際物流情報ネットワーク化

航空機、船舶が到着後、迅速に貨物出しするためには、段取りを事前に行うための積み荷情報等のカーゴ・コミュニティ・システム(CCS)等が必要となる。このために国際的な港湾・空港間を結ぶ物流情報ネットワーク化を図る必要がある。近畿圏における港湾、空港では国際物流情報ネットワーク化が必ずしも十分でなく、企業、キャリアサイドからの利便性を高めるための仕組みとして整備が必要である。

 

2]コスト低廉性の確保からみた課題

○国際物流共同施設整備・活用の促進

国際物流におけるコスト削減の一環として、臨海部の高い地価に対して共同施設化を図り、省スペース、中・高層利用を行うとともに、投資コストの低減を図る。また、既に整備されているACCT等の共同施設については、共同輸送機能の強化など、一層の活用を促進する。

○施設稼働率の向上(24時間化等)

近畿圏における港湾、空港においても基本的には施設の24時間化は可能である。しかしながらコスト高等の面から余り利用されていない現実がある。24時間化は、船社や物流関連企業にとって投資効果を高め、引いては生産性の向上によるコストの低廉性を図ることが可能となる。このため、民間企業が利用しやすい24時間化を促進するための仕組みを構築する必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION