2]輸入港湾、空港選択条件
<関連企業の利用を重視した国際物流経路の確定システムの存在>
関連の物流企業を利用する傾向があり、このため、関連企業が強い港湾、空港を利用する。例えば、商社等の関連物流企業は拠点港、空港背後地のみに施設を有しており、拠点港湾、空港を利用する傾向にある。このため、従来の物流経路が余り変化しない構造が構築されている。
<港湾関連サービス産業の集積を重視した港湾選択の仕組みの存在>
港湾を選択する理由として、検品、補修、海貨事業等、高度なサービス業の立地がある。例えば、青果等では多様な燻蒸施設等検査施設が必要であり、また、布地のほつれを直す際には、補修技術をもつサービス業の立地が重要となる。
<関西国際空港の利便性の高まりによる西日本各地への物流システムの確立>
関西国際空港の路線ネットワークの充実により、輸入業者に対する利便性が向上している。コスト面(空港施設使用料等)で関西国際空港は高いと指摘もあるが、コストを負担と考えない貨物においては西日本各地向けの最速ルートとして認知されつつある。
<全国需要を統合して扱うことによるスケールメリット追求型統括物流管理システムの存在>
百貨店等では取扱貨物量がそれほど多くないため、関西国、関東圏のどちらか需要の多い方で一括した国際物流を統合によるスケールメリットで実施している。このため、国際物流管理を実施する部署の利便性の高い特定の港湾、空港(全国で1カ所)が選択される。
O国際物流経路を決定している関連企業の利便性の高い港湾、空港を利用。(商社)
O従来から取引関係のある海貨事業者のいる港湾を利用。(百貨店)
O関連企業の営業倉庫を主力に利用。(商社)
O検品、検針業者が立地する港湾を利用。(通販)
O利用港湾の決定条件として海貨事業者のレベル(安全性、信頼性、ハンドリング能力)。(機械メーカー)
O路線の充実により、関西国際空港を介した西日本の物流が最速に。(市場業者)
O関西国際空港の利便性の向上(便数増によるタイムロスの防止、積み残しリスクの低減、混載差益の拡大:但し中小フォワーダは依然として関西国際空港での混載が無理なところがある)。(フォワーダ)
O需要規模がそれほど大きく無い場合、国際物流のハンドリングの効率性から、特定の港湾、空港に利用を限定。(百貨店)
O名古屋港に比べ、大阪港、神戸港での混載差益の挙げ易さ。(フォワーダ)
注)国際物流経路決定者(国際物流の経路を決める事業者)
本調査ではキーワードとして、「国際物流経路決定者」という言葉を用いている。これは、実際にどの港湾・空港を利用するか、どの経路を輸送するかを実質的に決定している事業者のことを差し、商社、フォワーダ等が該当する。