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2. わが国における消費財輸入の実態と問題点の把握

 

1)モデルケース別物流経路からみた消費財輸入の実態と特徴

 

(1)モデルケース別物流経路からみた消費財輸入の実態

 

モデルケースとして取り上げる消費財の物流経路は次図で示す通りである。ここではモデルケースごとの消費財輸入の特徴を記述する。

 

1]アパレル

高級ファッション商品については海外から需要地近くの空港まで輸送し、迅速に顧客(卸等)まで配送を実施する。この場合、国際・国内における物流経路決定を行うのは商社や百貨店等の小売業である。高級ファッション商品の物流において、航空輸送を行う理由としては高付加価値商品であり、販売における時間的な制約(高級ファッション商品の多くが季節性があるため、需要が顕在化している時期に商品を店頭に陳列する必要がある)があるためである。

また、Tシャツ等の汎用製品については、海外から輸入を行う場合海上輸送が用いられる。これら商品は季節性・ファッション性が低いため、大ロットで生産されたものを大量に輸送する大量生産・物流が実施され、物流コストの低減が図られている。

 

2]鮮魚

鮮魚の場合、日々変化する売値に対して高くなる市場に出荷することが前提となっている。このため、当初、関西圏内の市場への出荷予定の鮮魚でも、その時の市場価格の下落により市場価格の高い東京圏内の市場に急きょ、出荷場所の変更する場合もあるもこのため、臨機応変に利用空港を決定する必要があり、その指示が可能な者が物流経路決定者となる。具体的には市場業者である。

また、基本的には主たる需要地である関西に近接する関西国際空港を利用するが、別途、成田空港を利用する場合も生じている。これは、関西国際空港に対して成田空港の方が方面によっては便数が充実している場合があるためである。また、成田空港経由の鮮魚や韓国からの下関経由の鮮魚等も関西圏市場、量販店に流入している。

鮮魚に対しては、物流におけるコストよりも2日以内で店頭に並べるという物流の早さを最重視している。

 

3]家電

家電メーカー自体が物流経路の決定権を有している。従来、商社等を介して間接貿易であったが、近年は直接貿易化している。

 

 

 

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