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車輪フランジが軌条輪に当るリミットサイクル的挙動を行う結果、荷重枠の重心高さが高い影響も加わり、柔らかい上下剛性の枕ばねと相まって、下心ローリングが連成したモードの車体蛇行動となったものとして説明され、台車試験台による試験では、台車の走行安定性評価には使用しないこととなっているものであり、その発生をもって、その回転方向の試験は中止される。

今回は、台車のけん引装置が、車端側に来るように荷重枠(車体)を搭載した場合、後尾台車として走行する軌条輪の回転方向に於いて、すべての条件でこの車体蛇行動が発生した。参考として図19に試験番号L8(ヨーダンパ、左右動ダンパ共に無し)で87km/hで自励車体蛇行動が発生した場合の波形を示し、その拡大波形を図20に示す。又図21に1/3オクターブ分析結果を示す。

但し、試験番号L20、22では、何らかの理由によりこの速度域での車体蛇行は発生せず、175km/hまで速度を高めた段階で、4Hzの台車蛇行動が発生している。

これは、先頭台車として走行する場合にも見られるヨーダンパ、左右動ダンパ無しの状態で発生した台車蛇行動と同じものであり、これが、本1軸台車の減衰装置を持たない場合の限界速度を示していることが判る。図22に試験番号L22の引張加振に端を発した4Hzの微少な振動が、徐々に自励発散する波形を示し、図23にその拡大波形を、図24に波形の1/3オクターブ分析結果を示す。

 

(2) 台車のけん引装置が車体中心側になるように荷重枠(車体)に懸架した場合

本1軸台車のけん引装置が進行方向に対して非対称であることから、走行安定性に進行方向によって差があることも予想されたので、台車のけん引装置が車体中心側になるように、台車の向きを反転させ荷重枠(車体)に装架した場合についても試験を行った。この場合、固定側台車については、元のままの台車けん引装置が車端側に来る状態を変えずに保っている。台車中心間距離(固定軸距)は5mと不変乍ら、けん引装置のけん引リンク中心は、台車側は1.16m、車体側は1.96m車体中心側に入った位置となる。

1) 進行方向が先頭台車となる場合

この場合は、ヨーダンパがある条件では200km/hでも安定である。図25に試験番号L56'の200km/h時に引張加振を行った後も安定に走行している波形を示す。

しかし、ヨーダンパが無い場合は、175〜195km/hの速度城で5〜6Hzの台車蛇行動が発生した。この時、荷重枠(車体)は静止状態を保つ。この速度域が、本1軸台車のヨーダンパ無しの場合の限界速度を示していることが判る。図26にその例として試験番号L50で発生した台車蛇行動の波形を示し、その拡大波形を図27に、又1/3オクターブ分析結果を図28に示す。

 

 

 

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