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6.2.6 直線走行試験結果

表9、10に直線走行試験結果の要約を示す。

直線走行試験の結果を縦軸に速度をとって、走行安定性を比較した結果を表11、12に示す。表11は台車のけん引装置が車端側にある場合、表12はけん引装置が車体中央側に来るように台車の向きを替えた場合を示す。

 

(1) 台車のけん引装置が車端側に来るように荷重粋(車体)に懸架した場合

1) 進行方向が先頭台車となる場合

台車の左右方向又はヨー方向に減衰を与える機構を持つ場合は、いずれの条件でも速度200km/hに至っても安定である。図14に試験番号L3の波形を、図15に同じ条件で横加振を行った試験番号L5の波形を示す。

このヨーダンパ或いは左右動ダンパを取付けた条件での限界速度は、200km/hをはるかに越える速度と推定され、試験機の能力上(最大速度230km/h)も限界速度を確認するには至っていない。

一方、ヨーダンパ或いは左右動ダンパを取付けない状態では、170〜180km/hで4〜5Hzの台車蛇行動が発生した。これは、車体(荷重枠)は静止の状態で、台車(輪軸)のみが小刻みに左右振動を行うもので、発散迄には至らぬものの減衰装置を持たない場合の本1軸台車の限界速度を示している。図16に試験番号L31の波形を示し、これを拡大した波形を図17に示す。又この振動波形を1/3オクターブ分析した結果を図18に示す。

2) 進行方向が後尾台車となる場合

荷重枠を球頭で支持する代わりに、同種の台車を地上に固定して、その上に荷重枠を搭載する所謂擬似一車体モデルとして試験を行ったが、速度75〜80km/h付近より、従来の半車体モデルに於いて発生する2Hz近傍の車体下心ローリングモードの車体蛇行が発生した。

これは、輪軸の踏面勾配に基づく幾何学的蛇行動に、試験装置全体のばね系が共振して発生するもので、新幹線用台車をはじめ一般の台車の台上試験で、軌条輪の回転方向によって恒常的に発生する現象であるが、現車の走行では現れない種類の車体蛇行動である。

今回は、特に1軸台車のけん引装置が非対称であることから、台車の走行安定性に、走行方向により差がないかを調べるため、なるべく試験機の方向性の影響を排除する目的で擬似一車体モデルを構築したが、結果的には、固定側台車のけん引リンク支点内至は、固定側台車の支持ばねによる仮想回転中心まわりのヨーイングが発生し、実質上は半車体モデルとして機能した結果に留まったことを示している。

 

 

 

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