ヨーダンパを取付ければ、200km/hを越えての走行も可能であるが、ダンパフェイル時を想定した場合の安全な実車走行は、160?q/h程度以下とすることが望ましいと言える。
4〜5Hzの台車蛇行動は、ケース1)の先頭台車となる場合でも、ヨーダンパ、左右動ダンパが無い場合に発生しているが、この時は危険を伴う程の激しい発散には至っていない。(図29、30、31)
従って、1軸台車にけん引リンクが進行方向の後に来る場合には、不安定さが増すものと見られる。
2) 進行方向が後尾台車となる場合
台車のけん引装置は進行方向にあり、軌条輪の回転方向に対しては、1)のケース(台車のけん引装置が車端側に来るように荷重枠(車体)に装架した場合)の先頭台車となる場合と同じになるが、ヨーダンパ有りの条件3ケースで、120〜150km/hで2〜2.5Hzのヨーイングと下心ローリングが連成した車体蛇行が発生している。(図32、33、34)
この振動は、1)のケースの後尾台車走行で発生した70〜80km/h速度域での2Hzの振動と同じ性質のもので、輪軸の幾何学的蛇行動の2倍の速度での共振と見られ、実車走行では現れない振動であるから、台車の走行安定の評価には使用されない。その他の条件では200km/hでも安定である。
試験番号L51、51'(ヨーダンパ、左右動ダンパ共に無しの状態)では、190km/hでも台車蛇行動は発生しなかったが、試験機の都合により試験をそこで打切っている。(図35)
このことより、2〜2.5Hzのヨーイング下心ローリング連成モードの荷重枠(車体)蛇行動は、1軸台車のけん引装置の非対称に基づく方向性に起因するものではないことが明らかである。
以上のことから、本1軸台車は、けん引リンクの非対称性に基づく方向性は認められるものの、160km/h程度迄は十分安定な走行特性が得られることが判った。