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事例18 石川県・能都町(人口12,946人 面積115.46km2)

〜まほろば成人式〜

 

1. 交流事業の契機

能都町には、町の活性化や効率化に寄与する提案を、職員から募集する「プロポーザル制度」という職員提案制度がある。「まほろば成人式」は、この制度により提案され、平成9年度に初めて事業化されたものである。

 

2. 交流事業の経過・概要

この事業は、満50歳を人生第二の節目の成人式としてとらえたもので、自分のルーツやふるさとを見つめ直し、皆で集い友と語らい、その交流人口を増やし、町を活性化するという目的を持つ。本年1月に第1回目を開催するにあたり、同級生が実行委員を務め、諸準備を進めて開催されることとなった。

1月15日「成人の日」。全国各地で二十歳の成人を祝う式典が開かれる中、能都町では50歳の人たちによる成人式「まほろば成人式」が行われた。

日本で初めてのこの成人式に、対象者約600名のうち159名が参加し、数十年ぶりの友との再会に手を取り合って喜ぶ姿があちこちで見られた。かつてのニックネームで呼び合い、会場は少年時代へタイムスリップしたような盛況ぶりだった。

式は、「人生の節目、50歳を迎えた今、21世紀を中心となって支えていけるよう、私たちのふるさと能都町を心の「まほろば」として頑張っていきたい」という代表者の弁で幕を閉じた。

その後、成人者たちは出身学校ごとに同窓会会場へ向かった。

なお、「まほろば」とは、「まほらば」あるいは「まほら」とも言われ、美しいところ、優れたところという意味をもった言葉である。

 

3. 交流事業の効果

当事業を通して、久しぶりに故郷の土を踏んだ人も多く、これを契機にふるさととの交流を誓い合う声も聞かれ、交流人口の増はもとより、ふるさと愛も育成されるなど、目に見えない間接的効果があったと考えている。

参加者の喜びの声をいくつかあげてみる。

 

◆20歳の成人式ができず、淋しい思いをしましたが、今日は娘と一緒に成人式を迎えられたので、とても嬉しいです。私にとって初老の区切りと20歳の区切りが一度にできたので、本当に良かったです。

◆ふるさとを離れて約35年、能都町へほとんど来られなかったので、今回のような式を開催していただき、本当に良かったです。人生の折り返し地点に立ち、これから新たな気持ちで頑張っていきたいです。

◆20歳の成人式には都合で出席できず、生まれて初めての成人式を迎えました。同級生はいくつになっても男女関係なく、「なあなあ」言えるのでいいですね。50歳になるのでボランティア精神を身につけていきたいです。

◆昔の友達に会えて嬉しいです。卒業してから初めて会う人もいました。こんなに楽しいので、本当に出席して良かったです。次回行なう人たちは、みんなに声を掛け合い、もっと多くの人が集まるようにしたらいいですね。

 

 

 

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