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(3) 中学校の協力

南郷村の中学1年生全員を派遣するため、教育課程の中での事前・事後の指導が可能であり、有効に各教科との総合学習が組みこまれている。また、韓国からの国際交流委員によるハングル語の教育、体育授業の中での韓国の民俗芸能サムルノリ(打楽器を伴う踊り)の指導などはその好例である。

また、研修団の引率者として毎年数名の教職員が参加している。9年度までは、引率する教職員に対して、派遣期間中の「職務専念義務免除」の措置がとられた。しかし、これでは、引率の教職員は韓国訪問に公務としてではなく、ボランティアとして参加することになり、事故等が生じたばあいの保証に欠けるうらみがあった。10年度からこれが改善されて引率教職員に対して「公務出張」扱いの措置がとられるようになっている。

 

(4) 事業費

パスポートの取得費は参加者負担であるが、この事業にかかわる費用はすべて村費でまかなわれている。平成9年度までは、村の一般会計から直接支出されたが、10年度からは新設された「国際理解教育交流推進協議会」への委託事業費として支出されている。10年度の予算を表4に示した。訪韓研修には388万円が計上されている。林川中の訪日は10年度は実施されていない。後述する川崎市との交流には49.3万円、南郷サミットには41.8万円が予算化されている。

 

(5) 成果と課題

この交流事業は中学生の意識やものの見方・考え方に非常に大きな影響を与え、自信と誇りを植えつけている。

中学生への効果は次のようにまとめられている。これらは引率の教職員や事務局担当の職員にもあてはまるものと思われる。

1 中学生時代にパスポートを持って外国を訪れることにより、国際的視野を拡大するとともに、日本の良さを実感できた。

2 世界には、異なった文化や考え方の違いを持つ国があることを知るとともにわが国の文化を大切にする考え方も深まった。

3 言葉は通じなくても、仲良くしていこうとする心と心は通ずることが体験でき、将来の韓国との友好的態度が深まった。

4 お互いにホームステイ等を実施する中で、偏見等が是正され、国境を越えた人間同士の(親を含めて)信頼感が回復できた。

 

 

 

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