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(5) モデルハウス「森の館」

60万円で20年後に杉の木材30m3といっても、会員は「30m3とはどんなものか」「家一棟は可能か」などの不安もあろう。そんな不安を解消し、マイホームの夢をより現実的なものとし、実際に建築可能なことを実証するため、いわばモデルハウスとして「森の館」を建設した。年間、多数の人(15万人)が訪れ、交流の拠点となっているフィッシングパーク内に、この「森の館」が建設されている。

(参考)上津江村で植栽されている主なスギ品種

・ヤブクグリ〜日田地方の代表的なスギ品種。玖珠地方、竹田地方、熊本県小国地方、福岡県八女地方などにも広く造林されている。地味の良好な場所では旺盛な生長を示すが、一般的には中性型。上津江村ではこの種が最も多く、約40%を占める。

・アヤスギ〜北部九州一体に古くから分布し、大分県内でも日田地方を中心に造林されている。幼齢期の生長が遅く晩生型。上津江村では約30%。

・リュウノヒゲ〜上津江村、熊本県菊池地方にかなり広く分布する従来品種。成長は中生型。上津江村では約10%。

・クマントスギ〜上津江村、中津江村、熊本県鹿本郡の一部に分布する。生長は遅い。上津江村では約5%。

・ヒノデスギ〜生長が早く、特に直径成長がすぐれている。適地の幅は比較的広い。上津江村では約5%。

 

4 コメン卜

 

(1) 山奥の小さな村が、総面積の90%以上を占める森林という資源を生かして、交流をはじめ、イベント、定住促進、人材育成など多彩な取り組みをして、成果を上げていることを高く評価し、声援を送りたい。

(2) 交流の歴史の長さを感じさせる。交流は長期にわたって継続することによって、経済的、精神的両面のさまざまな波及効果を生み活性化につながる。この継続性のメリットを“森づくり20年”と結びつけた「一棟分ふるさと森づくり」のアイデアと、それを実践して成功させた行政と住民の息の合った協働関係も、結局は長期継続した交流がもたらした波及効果であると思われる。

(3) 農林業と観光レクリエーションを結合させた活性化戦略、全村が森林という視点でとらえ、四つの地域にゾーニングした「森林ランド」構想など、交流とは何かのしっかりした理念が感じられる。

 

 

 

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