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(4) 成果と課題

自然環境保護に対する関心は予想以上に高く、全国規模で「ファーブル友の会」への参加・支援が見られた。「友の会」の活動を通じて、交流の輪が広がりつつある。

また、フランス・セリニャン村との交流もある程度深まった。

しかし、「友の会」発足当初と比べて、年を重ねるごとに会員数は減少傾向にあり、事業活動への参加にもかげりが見られるのが現状である。事業費(平成10年度)220万円のうち、町補助金が200万円を占め、また、事務局は専任職員がいない、という状況で、この事業が新たな展望を拓くには、財政・人員の両面で大きな壁につき当たっている。

活動のテーマが分散的であり、活動の展望が必ずしも明確でない。フランス・セリニャン村との交流、全国規模の「友の会」としての活動、自然環境保護の視点からの「ファーブルの森」づくり、これらが相互に他を補いあって大きな事業となることが本来望まれたことであろう。現状では、それらのいずれもが中途半端で、相乗効果が出ていないように思われる。テーマを絞り込み、活動を再構築することが必要であろう。

 

4 山村留学制度

 

富士町の北部、北山湖に面して木造2階建ての校舎が周りの自然に融けこむように立っている。富士町立北山東部小学校。児童28名、教職員11名の小さな小学校である。新校舎が竣工したのは平成2年3月。まだ木の香りの漂うお洒落な校舎だ。この小学校で、都会の子供を受け入れる「山村留学制度」が実施されている。

 

(1) 山村留学制度の契機と目的

富士町に4つある小学校区のうちで北山湖周辺の北山東部小学校区は、町内でも過疎化の最も進んだ地区である。平成に入ると、過疎化の進行は小学校児童数の減少を加速し、すでに複式学級で授業を行っていたこの小学校の存続が危ぶまれるようになっていた。平成4年度からこの小学校のPTAの人たちを中心に、その危機に対処するために都会の児童を「山村留学生」として受け入れることが検討され、先例校の視察なども行なわれた。それを踏まえて、5年8月に受け入れ実施機関である「やまばと山村留学育成会」の規則と、「同実施要項」が制定された。

 

 

 

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