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・地域づくりの課題と交流事業の位置づけ

地域づくりの課題としては、高知市との時間距離の近さを活かした取組みを、どう充実させていくか、という点にかかっている。若者定住の促進策や、観光農業などへの取組みは、このような観点からの取り組みである。都市圏との近接性を活かした取組みは、高知市内だけでなく、瀬戸内海方面へもなされており、新居浜市での直販の実施は、その一環である。国道194号線の高知・愛媛県境にある新寒風山トンネルが開通(平成11年予定)すれば、瀬戸内海側との交流はますます進むものと予想され、そのための布石を早めに打っておく動きとも言える。

しかし、数々の地域づくりの施策の中でも、交流事業はそれほど重要な施策としては認識されていない。課題として取り上げたテーマも見方を変えれば交流事業ということができるが、村では産業振興施策や定住施策として捉えており、交流という括りには含まれていない。

村としての規模の大きな交流事業は、村内程野地区で毎年11月に行われている「ほのほの王国もみじまつり」への取組みがある。

 

2 交流を通じた地域活性化への取り組み

 

2-1. ほのほの王国もみじまつりの実態

 

2-1-1. きっかけ

「ほのほの王国もみじまつり」の会場となる程野地区は、村内最北部に位置し、村内を南北に貫通する国道194号線から村道を30分ほど入ったところにある。

この地区には4つの滝があり、総称して「程野の滝」と呼ばれている。村では、昭和61年度から林野庁の森林空間総合整備事業を導入し、バンガローや森林生態学習館などの整備を行ってきたほか、単独でも程野森林公園の整備を進めてきた。

「もみじまつり」自体は平成2年から始められていたが、会場を整備し本格的に開かれるようになったのは、平成4年に第16回全国育樹祭が程野地区を会場に開かれてからである。育樹祭の会場として、程野地区の集落共有の茅場が広場として整備されたが、その会場跡地の有効利用を図るためと、滝や森林公園など程野地区全体の開発を併せて「グリーンパークほどの」としての整備が進められてきた。「グリーンパークほどの」は、村民の自然とのふれあいや、主に高知市を中心とする都市住民と地域住民との交流を図り、村の活性化と21世紀へ向けてのむらづくりを進めるために整備が進めているものであり、全体図は次の通りである。(図5)

 

 

 

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