農遊村に悩みは尽きないが、やる以上、農遊村は断然成功させなければならないというのが「村長」山中浅男さんの決意である(平成9年7月、悠邑ふるさと体験モデルづくり推進フォーラムでの発言要旨)。今回その後のこともうかがった。
農遊村事業は、いうところのグリーン・ツーリズムの内容にもっとも近いが、それでも農業体験者はいまのところ週末や休暇を利用しての、“通い”であり、村内に定住しているわけではない。この試みが実施できたのも浜田自動車道の開通に負うところが大きいが、交通の利便は、グリーン・ツーリズムの可能性をもたらす一方、それを制約するマイナスの条件にもなっていることを思い知らされる。グリーン・ツーリズムが目標とする、都市民との交流を通じて過疎地が経済的な収益をあげ、活性化するのは容易ではない。
平成8年7月にアンテナショップを開設して以来、2年余を経過したが、現状での問題、課題は以下の如くであるという。
(1) 収集した情報の伝達ルートが不安定であること。
(2) 経済効果について数値での判定が困難であること。
(3) 交流人口に対して季節的に受入容量(ソフト、ハードとも)が不足していること。
(4) 郡内各町村の広域連携に対する認識の差があること。
(5) 郡内民間施設との連携が必要であること。
(6) 職員の派遣ローテーションと派遣町村の人事管理に問題があること。
しかし邑智郡のグリーンツーリズムは緒についたばかりであり、その成果をうんぬんする時期ではない。上記のような問題点を認識しつつ対処すれば成果が期待されよう。しばらくはその推移を見守りたい。
アンテナショップを訪れたのは9月下旬のことであったが、つぎつぎと来客があり、職員は応接にいとまがなかった。問い合わせの電話が鳴るなか、オフィスをあとにしたが、あたりに夕刻が近づいていた。
(注)*印の写真は邑智郡町村総合事務組合(川本町)提供