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○出羽川でのハンザケウオッチング(オオサンショウウオ観察会)に毎年50人(瑞穂町)

○陰陽神楽競演大会鑑賞ツアーに毎年45人(瑞穂町)

○生協ひろしま会員との田植え・稲刈り体験交流に毎年130人(石見町)

○昔ながらの炭焼き体験交流に広島市内や市内周辺から毎年40人(石見町)

といった具合である。各町村が独自の方法で都市住民との交流事業を展開していることもうかがわれよう。アンテナショップの果している役割は大きい。

 

2 「農遊村」の試み

このようにアンテナショップを通しての都市住民との交流が進んではいるが、グリーン・ツーリズムの目標は、日帰りや短期の滞在ではなく、たびたび訪れる、いわゆる「リピーター」人口の増大を図ることであり、そのリピーターも単なる観光ではなく、長期滞在型の農村体験、さらには定住化を実現することにある。その点では、上記の事業はまだ十分とはいえない。

近時都市住民の田舎志向が強まり、定年帰農とか田園就職といった言葉が流行し、それを特集した雑誌はもとより、田舎の土地、建物などの買物情報誌さえ現われている。なにごとであれすぐにブームにしてしまう日本人のわるい癖がここにも出ているようで、先き行きに危惧を覚えるが、田舎への関心それ自体がわるかろうはずはなく、それが時代の流れになりつつあることはいなめない。グリーン・ツーリズムの成否は、そうした趨勢をいかに正しく把握し、適切に対処するか否かにかかっている。そこにアンテナショップの役割がある。

邑智郡が島根県グリーン・ツーリズム推進モデル事業として試みているものに、瑞穂町の「農遊村」体験がある。農遊村は標高400〜500メートル、かつて昭和50年前後から県の開発事業によって開かれた日の原地区にあり、ここで田地100坪を限度として希望者に年3,000円で賃借し、農業体験をしてもらうというものである。12人の応募者があり、平成9年5月に開村式を行なっている。

 

3 グリーンツーリズムの課題

以来都市住民の農業体験は、地元住民との交流を通じて行われ、最近支援の会もつくられたという。

しかし問題がないわけではない。トイレがない、水道や休憩所もない、農具を入れておく施設もない。いまのところ近所にある煙草乾燥所の施設を利用してもらっているが、早急に解決しなければならない。その費用を地元としてどう負担するかという問題もある。

 

 

 

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