日本財団 図書館


邑智郡は全域の約86%が山林原野で占められており、田畑合わせても11%に満たない。産業構造を就業者数でみると、第一次産業約27%、第2次産業約30%、第三次産業約43%で、この数字は個々の町村についても大きくかわることはない。

郡内7町村はいずれも過疎化、高齢化に見舞われ、今日に及んでいる。人口の推移は別表(表1)の如く減少の一途を辿り、昭和45年-平成7年比で25.9%減となっている。これは島根県下では美濃郡(35.8%)、邇摩郡(26.7%)についで高い数字である。ただし年平均減少率が1.2%というのは、他府県の過疎地に比すればさして大きくないと思われる。いずれにしても中山間地域における典型的な過疎地帯であることにかわりはない。 1郡7町村があげて協力し、郷土の活性化のための施策『悠邑ふるさと構想-「自然と人と文化の共生する夢郷土」の創生をめざして-』を立てた根本理由である。

 

表1

106-1.gif

 

2 郡単位の広域事業

この構想は平成元年(1989)9月、7町村と島根県による邑智郡振興協議会が設立され、計画の策定、国内外の施策調査あるいはシンポジウムの開催などを通じて練り上げられ、平成4年正月に決定をみている。その規模において別に取上げた「中国山地県境市町村連絡協議会」(県境サミット)には及ばないが、一郡全域の広域連携というのは珍しい。

この「悠邑ふるさと構想」は、郡域全域にわたる広域事業であり、7町村相互の連帯、協働を通じて、これまで歴史的・地理的に孤立分散がちであった7町村の結びつきを強め共通の郡民意識の形成を促すことも大きな目標であるという。その点では先の県境サミットが人びとの間に存在した地域的な結びつき意識を土壌にしてスタートしたのとは逆の形をとっているともいえるが、構成市町村がそれぞれの地域特性を活かし、独自の方策でまち(むら)づくりを推進するという点では、県境サミットと目指すところは同じである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION