他の同期生も、経歴はさまざまだが、都会をはなれた田舎で、香とともに生活してみたいという思いは共通しているようだった。一日のスケジュール、季節ごとの仕事、ハーブ園を出ての町の人たちとの交流などについて尋ねたが、二人とも生き生きとした表情で語ってくれ、充実した日々を送っていることが察しられて嬉しかった。
平成10年までの5年間で研修したOBは30人、そのうちわけは関東7人、関西11人、中国9人、九州3人である。うち8割が残って石見町(10人)と隣町(3人)に住み、他はそれぞれ郷里に戻った(その中でハーブ関係の仕事に就いているもの3人、結婚5人、その他)。町内に残った者のうち3人はクラフト課に就職し、後輩の指導にも当っている。同窓会ももたれ(選に漏れた人も加って)、お互いに情報を交換し合っている。そんな話を香木の森館長・三宅紀夫氏や植物学などを教えている渡辺生紀氏、ボランティアで指導に当っている寺本恵子さんなどから聞いた。公園への入場者も、雪の季節を除いて14万人にものぼり、リピーターも少なくないという。都市住民との交流による経済的効果も上っているとみる。
もっとも研修制度については、いまの方式でこのまま続けてよいのか、見直しの時期に来ている。短期(7〜12日ていど)の研修会を行うようになったのも、微調整の一つであろう。初期段階では研修終了者で町に留まったものもいるが、その受け皿がなくなっている。投資の成果が町に還元されないのでは、といった声が出てくることもあろう。グリーン・ツーリズム事業の正念場に来ているように思われるが、これまでの努力を見た者からは、なんとしても頑張ってほしいという言葉をおくる以外にない。