日本財団 図書館


表2 3つのGT計画

 

平成8年度以降を第2期と位置づけ、少しでも「森林都市圏」の理想に近づくよう戦略的な広域行政を展開しました。県境サミットではこれを「3つのGT戦路」と名付けています。

第1のGTは「グリーンツーリズム=日本型グリーンツーリズムの実現」で、構成16市町村を有機的に結ぶ、創作・体験を加えた広域観光ゾーンを創り出すことです。

手始めには、平成8年から作成している「エメラルド・パスポート」を充実させるため、広島県中小企業共済協同組合、カード会社との業務提携を平成8年11月に行い、平成9年1月に97年版を発行しました。さらに98年版では特典施設も100をゆうに越えるとともに、近郊都市のスーパーやリゾート施設とも提携を行いました。

また、魅力ある食材や特産品を作るためのマーケティング調査や市場関係者による実地指導を実施しました。

第2のGTは「グリーン・ターミナル=中山間地の高度情報化、緑の情報網の実現」です。今過疎地は「人の過疎から情報の過疎」化へと向かいつつあります。これまでの情報はもっぱら地域やコミュニティ情報の受発信ということでしたが、今後はインターネットに代表されるパーソナル情報への参加、様々なメディアへのアクセスといったことが重要になってきます。この参加型情報社会へ中山間地域が対応するためには、公共での情報インフラ整備が必須です。このため県境サミットでは平成8年8月に関係各省庁、関係4県と「中山間地域高度情報化研究会」を発足し、中山間地域の振興策としての情報化を研究しています。8年度にはこの研究会を2回、首長・議会等関係者を対象にした「トップセミナー」、担当職員や圏域住民を対象にした学習会を実施しました。さらに9年度には圏域内4町村で電光掲示板を設置し、市町村や県を越えた情報の発信と施設の共有化を進めました。

第3のGTは「グリーン・トラスト=広域的農地と森林保護対策」です。農地、森林の持つ公益的機能(国土保全、水源涵養、大気浄化、健康・レクリエーション機能等)を重視した広域的農地、森林保護対策を圏域全体で考えていこうとするもので、8年度の地域フォーラムでも「森林理想郷」「後継者対策」をテーマに開催しています。また現在水源の水を使用し、下流との交流や森林保全のための寄付金をつけた地ビールも具体的な検討調査を行ったところです。これについては平成10年度にハード事業に着手します。

 

しかしこれは県境サミットの限界でも欠陥でもないと思う。県境をこえ行政のわくをこえて16もの市町村が協議会をつくったこと自体が驚異であり、したがって当面はその内部の実体化に努めるべきで、それが不十分な段階で、いたずらに外部との交流事業に乗り出すべきではない(むろん外部からの観光客がパスポートを利用するのは歓迎こそすれ、拒む理由はない)。ソフト事業から環境インフラの整備などハード事業へ、圏域内観光から都市住民の長期滞在型観光(〜定住)のグリーン・ツーリズムへ、は第3期以後の目標にすべきものであろう。

 

(注)*印の写真は日南町提供

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION