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2-1-2. 相手

対象は、町民とそれ以外の都市住民であるが、両者間の交流というのは特にない。町民向けには月に1回石積みの日(第3日曜日)として参加を募っているが、毎回20〜50名程度が参加している。それ以外は、町外者も含め石積み会場(桜ヶ丘公園)に行き申し込めば、積めるようになっている。

 

2-1-3. 苦労・工夫した点

当初は処分に困っていた石を利用していたが、築城が進むにつれ次第に石が足らなくなってきており、最近は積む石の確保に苦労しているという。また、当初2000年に2,000mを完成させるという目論見だったが、これまでの延長実績からすると2000年までに目標に達することは難しい状況となっている。

 

2-2. 交流の効果

町民向けの事業が、いつのまにか町外から注目を浴びるようになり、下川町の名も全国的に知られるようになってきている。また、積んだ石には名前を刻むことができるため、それを見ようと、一度石積みをした人の再来町を促す効果もあるという。

 

2-3. 問題点・課題

万里の長城築城事業は本来が町民向けの事業であり、交流を目指した事業ではないため、仕方がないところもあるが、現在のところ町民と訪れた人との直接の交流の場はない。交流相手は随時訪れるため、対応しにくい面もあるだろうが、イベント形式など日を決めて交流を行う方式も取られていない。

また、万里の長城築城事業と他のふるさと運動の交流事業との関連も今のところなく、各事業はそれぞれ個別に実施されている状況である。

さらに、現在のところ2000年の完成は遅れる見通しであるが、万里の長城の完成後の維持管理や活用方法をどのように進めていくかについても未定である。

 

3. 交流事業の推進方策とそのあリ方

 

石積みに訪れた人と町民の交流の場や機会を、どう作っていくかが課題となっている。町民石積みの日にたまたま訪れた人は、直接町民と接することもできるが、どちらかが積極的に働きかけをしないと、なかなかそのような状況は作りだしにくいだろう。特に石積みに訪れた人たちは、「石を積みにきた」という意識はあっても、「交流をしにきた」という意識はほとんどないために、町側から積極的に訪問者を活用していく姿勢がないと、単に入り込み客が多いという状況でしかない。石積みに訪れた都市住民と町民が交流できる場や機会を積極的に設けるようにしないと、五月雨式に訪れる都市住民の訪問を活かすチャンスが見つけにくいのではないだろうか。

また、すでに10年以上の蓄積がある「ふるさと運動」の交流事業同士の連携も考えてみる必要があるのではなかろうか。

 

 

 

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