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ごあいさつ

(財)藤沢市芸術文化振興財団理事長

藤沢市長 山本捷雄

 

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「藤沢市民オペラ」の誕生25周年、藤沢市民会館の開館30周年を記念して、リヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ「リエンツィ・最後の護民官」をここに公演できますことは、私たち藤沢市民にとりまして誠に喜ばしく、また大きな誇りでもあります。

前回の公演「ウィンザーの陽気な女房たち」で精緻なアンサンブルオペラを経験し、一段と力を貯えた藤沢市民オペラが、今回はワーグナーの大作に挑戦いたします。この「リエンツィ・最後の護民官」は彼の初期の作品の一つで、その規模の大きさゆえにわが国ではこれまで一度も上演されたことがないという「日本初演」の作品であります。

これまでに15作品を公演してきた藤沢市民オペラが、わが国初演のオペラに挑戦するのは1983年の「ウィリアム・テル」以来ニ度目のこととなりますが、その時の公演成功が、藤沢市民オペラを一躍、地方レベルから全国レベルのオペラへと大きく成長させ、「市民オペラ」という形態を広く全国のオペラファンに知らしめました。そして、「アイーダ」「ファウスト」「トゥーランドット」といったオペラの大作に、その後も次々と挑戦し続ける大きな原動力ともなったわけです。

今回の「リエンツィ」公演からも、その時に負けない関係者の皆さんの熱気や意気込みといったものが伝わってきます。まず何よりも、総監督畑中良輔さんの心憎いばかりの作品選びの妙に感嘆させられますし、指揮には世界的に活躍を続けられる若杉弘さんがあたり、大評判となった「トゥーランドット」のまさに再現とも言える、わが国屈指の演出家栗山昌良さんとのコンビも復活いたしました。

ソリストにはわが国を代表するベテラン、中堅の名だたる声楽家の皆様があたられ、すでに三回を数える藤沢オペラコンクールからも、菅英三子さん、針生美智子さん、林正子さんの歴代優勝者をはじめ、新進気鋭の9名の入選、入賞者も出演いたします。

また、この作品は合唱オペラと形容しても過言でないほど合唱が活躍する場面が数多く見られますが、文化都市藤沢が誇る層の厚い合唱団の中から、湘南コール・グリューン、湘南市民コール、藤沢男声合唱団、湘南コーロ・ステラ女声合唱団、紀声会、藤沢市合唱連盟、慶應義塾ワグネル・ソサィエティーの7団体総勢180名のメンバーが参加し、その名に恥じない素晴らしい合唱の響きを聴かせてくれるはずです。

さらにオーケストラピットには40年の歴史を誇る藤沢市民交響楽団が入り、バンダはかながわ・ゆめ国体でも大活躍した藤沢ウインド・オーケストラが務め、若杉弘さんの薫陶を得ての演奏に大きな期待が集まります。そして、今回も舞台づくり、衣装づくりなど裏方にも多くの市民の皆さんが参加しているのは「市民オペラ」ならではの特色と言えましょう。

すでに他界された福永陽一郎さんが、そのライフワークとして取り組まれた「藤沢市民オペラ」。1973年の「フィガロの結婚」公演以来長い年月の中で、その伝統を市民の手で脈々と引き継ぎ、「市民オペラ」というこのスタイルを、わが国の音楽界において一定の地位に押し上げてきたという自負を私たちは持っています。

そして、25年を経た今、大きく成長した姿をここに現し、かならずや全国のオペラファンの期待に応える新しい市民文化の形を発信いたします。芸術の秋、壮大な舞台をどうか最後までお楽しみ下さい。

終わりに、この公演に対し多大な助成をいただいた、芸術文化振興基金、三菱信託芸術文化財団、ロームミュージックファンデーション、五島記念文化財団、花王芸術・科学財団、日本財団の皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、公演の企画から準備、そして本日の公演に至るまでの関係者の皆様の尽力に対し心から敬意と感謝を申し上げ、藤沢市を代表してのごあいさつといたします。

 

 

 

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