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1.6  機能障害(変形も含む)のある人でも、必ずしもリハビリテーションが必要とは限らないと認識されるべきである。リハビリテーションは、日常生活や社会参加に問題がある場合に必要とされるべきものである。問題なく日常生活や社会参加ができる人々は、機能障害があっても幸福な人生を送れる。しかし、多くの場合、障害の悪化を防ぐための処置は続けていかなければならない。彼らはこの処置を継続する方法を知らなければならず、また、何らかの保護装置が必要な場合もある。

 

1.7  二一ズの査定は、問題解決に目標をおいて取組まれるべきである。介護は、そのような査定に従うべきである。地域社会基盤のリハビリテーション(CBR)に対するWHOの取組み方もこれに倣っている。地域社会のヘルス・ワーカーは、特定の能力障害に対する標準的技術を訓練されているというよりむしろ、問題解決できるように訓練されている。ニーズの査定は単独で行うのではなく、特定された地域でのリハビリテーション介護のために利用できる資金を念頭に入れて行うべきである。したがって、調査のような詳細なニーズ査定は、広い範囲を対象にするのではなく、リハビリテーション・サービスがその調査に基づいて引き続き行えるような、一定の条件で限定された狭い範囲で行うべきだと、ワークショップは提言する。

 

1.8  リハビリテーションの必要性を決めるのは、回復者自身である。回復者が自分自身のニーズを査定し、それに添って実行しているようなリハビリテーション・プログラムがもっとも成功を収めていることが今までの経験からわかっている。エチオピアで行ったある調査では、回復者のうち、自分にリハビリテーションが必要だと考えているのは、たった20%にすぎなかった。そこで、ワークショップでは、対象となる人々にリハビリテーションの機会があることを気づかせ、自分のニーズを十分認識した上で決定することができるようにすることの必要性に注目した。リハビリテーションに対する意欲に欠けるていると、本当にリハビリテーションが必要な人々に手をさしのべるのがもっとも難しくなるだろう。

 

1.9  リハビリテーションは、実際にリハビリテーションを受ける前に、受ける本人たちによって理解がだんだん育まれるという経過をたどることが必要である。このような状況においては、よいリハビリテーションの例の紹介によって得られた本人の積極的なやる気が何よりも強力な原動力となるからである。また、初めにリハビリテーションを拒否した人々にも、考え方を変えるチャンスを与えるべきである。

 

1.10 回復者の立場からみて、彼らの求めているものは、身体的、社会的、精神的、宗教的と、さまざまである。それ故、私たちのリハビリテーションの取組み方も、部分的なものではなく、全体的なものでなければならない。

 

2.  リハビリテーションの実施

2.1  政府や組織はリハビリテーションを促進するために、それぞれ異なるレベルで、意欲を高め、激励する必要がある。

 

 

 

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