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そんなことを今回のフェローシップを通して考えていて見えてきたもの、それは「視野の広さ」です。2日間の国内研修を終えてみて、ふと視野の広い人間とはどんな人間を言うのだろうか、という疑問に駆られました。今回の研修の主題は勿論、国際協力。海外の、しかも途上国の置かれている現状を少しでも改善すべく貢献していこうとすることは、視野の狭い人間にはなかなかできないことだとは思いますが、そういうことが私のイメージしている「視野の広さ」というものにダイレクトには結びつかない気がしました。つまり、国際的な問題に携わることが広い視野を持っているとは言い切れない(!!)と思ったのです。

医学生の方たちと接し、私は視野を広げるためには国際問題云々の前に、人とのコミュニケーションを大切にすべきであることを強く再認識させられました。人とのコミュニケーション-最も基本的で且つ重要なもの。面白くて魅力的で、それでいて複雑で難しいもの。国際問題・国際貢献を考えることも今後重要な課題であり、私たちの世代に課せられた責務なのかもしれませんが、それ以前のBase Lineとして、こうした観点から自分を振り返って考えてみるのもいいのではないでしょうか。我々医療そして福祉関係を生業とする者たちにとって、ヒトが(自分とは異質の)ヒトを看るという視点でモノを捉えるという姿勢が、人とのコミュニケーションへの強い関心に繋がり、視野を拡げることになるのではないかと思うのです。コミュニケーションの魅力的な部分、難解で複雑な部分はまさにそこだと私は考えます。かの神学者マルチン=ブーバーの名言に“When I Call you, I become I.”というものがあります。異質なものが入ってこなかったら何の変化も起こらない。(異質な)人間との出会いによって人間は人間となっていくと言っても過言ではないかもしれません。

そういったことを踏まえて、改めて国際協力という大きなヤマを見つめ直してみると視野がひらけていくのではないか。私はそう思います。

今回のフェローシップに参加して、自分の中でバラバラだったモノが1つ1つくっついていったような気がします。co-medical分野の人間として、こうしたことを仲間と頻繁に討論して考えを深めていきたいと思っています。また国際協力に関して高い目的意識を持つ医学生の人たちと接せたことで、良い刺激になったことが何よりでした。「国際協力」という分野についてほとんど知識がないことを実感させられましたが、それ故にもっとこの分野にも目を向けて勉強していきたいと思うようになりました。また語学力をもっともっと充実させなければ、という良い意味での危機感を抱かずにはいられませんでした。英語はもちろん、現在傍らで勉強している中国語についてもこれから学習していく上での新たな目標が見えてきたように思います。わずか2日間の研修でしたが、当初予想していた以上にみなさんから学んだことは多かったと感じています。時間の都合上、最後のディスカッションに参加できなかったのが残念ですが医学を学ぶ皆さんと共に学んでみて、様々なことを考えるきっかけを得られたこと、それが自分にとっての何よりの収穫だったと確信しています。

意見その他ある方、よろしければいつでも手紙ください。いろいろな人と話し多様な考え方を聞いてみたいと思っています。

まずはお互い頑張っていきましょう!!それでは。

 

 

 

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