国際保健協力フィールドワークフェローシップ国内研修に参加して
木村亜希(東京大学医学部健康科学看護学科3年)
国内研修のみの参加でしたが、日本の国際医療協力の第一線でご活躍されている先生方から貴重なお話を伺うことが出来、このような機会を与えて下さったことに感謝いたします。
将来、国際保健に何らかの関わりを持つ仕事をしたいと思ってはおりましたが、それは殆どあこがれに過ぎず、しかも、何らかの関わりという、全く具体性に欠けたものでした。特に、私はこの研修に参加したほとんどの方と違い、医学科の学生ではないため、国際保健の分野での役割を模索している状態でした。
今回の研修で、国際保健協力の実際をかいま見ることが出来、自分なりの国際保健協力が具体性を帯びてきました。私個人としては、感染症に興味があることから、感染症の研究に力を入れようと思います。さらに、医療のみならず、社会調査法、統計学、開発学の必要性を感じました。そして何より、机上の問題ではなく、途上国での実地経験が何より大切だと痛感しました。
しかし、講師の方から、「とにかく海外へ行こうという単純なことではなく、日本が公衆衛生に成功した理由など、日本でまず学ばなくては成らないことが沢山ある」という言葉を聞き、非常に良い意味でのショックとなりました。頭でっかちにならないことは重要ですが、海外ばかりに目を向けていた私には、今自分の為すべきことが見えてきたように思いました。
また、同じ目的を持つ仲間とのデイスカッションを通して、国際保健協力に対して問題意識を持つことが出来ました。医療の限界は、必ずつきまとう大きな問題ですが、医師だけでなく、看護婦(士)、保健婦(士)、検査技師、さらには、文化人類学や統計学、人口学、開発学など多方面からのアプローチと連携が、この問題の打開の一つとなるでしょう。そのためにも、日本における医師以外への(医学生においてもまだまだですが・・・)国際保健の教育強化が求められると思います。この研修では医学生のみでしたが、この仲間から国際保健の輪がさまざまな分野に広がっていくことを願います。
なぜ国際保健協力が必要なのかという問いには、私自身、人を説得できるだけの論理性を持って答えられるか分かりません。子どもの頃、なぜ自分という人間がここに生まれてきたのか疑問を感じたように、今も、日本という豊かな(本当の豊かさはさておき)先進国に生まれたのは偶然に過ぎないと思っています。ただの偽善ではないか、不平等をこの世界からなくすことなど無理だという意見もあるでしょう。しかし、国際協力とはそんなに特別なことではないと思います。一握りの正義感の強い人がすることではなく、普通の人々が自然に関わっていけるような体制を望みます。これからも、国際協力について自分自身に問いかけていきたいと思います。
最後に、講演下さった先生方、日本財団、国立国際医療センター、国立療養所多磨全生園、高松宮記念ハンセン病資料館、結核予防会結核研究所のみなさまに深くお礼申し上げます。