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国際保健協力フィールドワークフェローシップを終えて

 

中村妙子(福島県立医科大学医学部3年)

国際医療協力に医師として携わりたい、という私の医学部入学の一番の動機となった漠然とした思いは大学入学後、ほとんど具体性を帯びることなく3年間が過ぎていってしまいました。そんな折、本研修に参加する機会を得ることができ、私の将来の方向性に1つの指針を与えられた気がします。

今回は国内研修のみの参加でしたが、普段の講義では伺うことのなかなかできない実体験に基づく医療協力活動の実態や、医療技術面のみならず経済面における協力体制、また海外での協力活動をフォローアップしていくための本国での組織体制についてなど、先生方の情熱のこもった講義は、全てが私にとって興味深いものでした。

またハンセン病という社会的差別や偏見をうけた歴史を持つ疾患について、全生園の見学などを通して、深く考えさせられました。肉体的、精神的そして社会的に良好な状態にあることこそ、健康とするというWHOの保健憲章にあった一節を繰り返し思い出し、それを実践できる環境を整えていく必要性を痛烈に感じました。

2日間という短い期間でしたが、内容の非常に濃い講義を受けた後は、少々の脱力感とこの機会に恵まれて本当に良かったとの思いでいっぱいになりました。また、今回の研修を通して、私の何倍も国際医療協力に関心を持ち、積極的に活動している全国の医学部生をはじめとする仲間にめぐり合うことができたのも、大きな収穫でした。白熱した討論が夜遅くまで終わらず、みなさんの目的意識の高さを肌で感じ取ることができました。

しかし、同時に自分の知識や意識の曖昧さを感じずにはいられない場面も多く、今回の研修が良い意味での反省、刺激材料になったのもまた事実です。この思いを忘れることなく、今後の自分自身の活動の中に生かしていきたいと思います。

 

 

 

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