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フェローシップに参加して

 

山田彩記子(順天堂大学医学部5年)

フェローシップに申し込んでから、通知が届いて出発するまであっという間で、大した勉強もせずに国際医療センターに行ってしまった私は、他の参加者の知識、経験、目的意識に圧倒されっぱなしだった。私は入学してからの4年間、大学の講義と試験、体育系のクラブ、バイト、遊びのみで毎日を過ごしていたので、積極的に勉強し、活動している学生がこんなにたくさんいるのかと驚かされた。自分が少し場違いな所にいるような気もしたが後悔先に立たずなので、とにかく自分なりに多くのことを吸収して来ようと思った。

参加の動機は、これまで漠然と国際医療協力に関わる仕事がしたいと思っていたので、国際保健協力の現場を知りたい、世界の母子保健というものがどのように行われているのか見てみたいということであった。実際、学生というニュートラルな立場の内にWHO,JICA,DOH(フィリピン保健省)、そしてNGOの活動について学び、現場で働く人々のお話を聞くことで、それぞれの組織の関係、それぞれの立場・主張が多少なりとも理解できたことは、大きな収穫だった。将来自分がどのような形で国際保健協力に関わっていけるか分からないが、今回学んだことは必ず役に立つときが来ると思う。

研修を通じて得たもの・学んだことは数多くある。ここでそのいくつかを挙げてみようと思う。

まず第一に、国際協力の場で働くには、コミュニケーションの能力が絶対不可欠のものであるということを痛感した。ただ英語に不自由しないということだけでなく、社交的かどうかなど性格にも向き不向きがあるように感じた。英語の勉強を続けつつ、多くの人たちと知り合い、情報交換できるようにしたいと思う。フェローシップで知り合った人たちとも末永くつきあっていきたい。

次に、最初から国際協力の世界に飛び込むことは不可能で、自分の専門分野を持ち、様々な経験を積んでからでないと役に立たないということがよく分かった。また、国際保健に関わるのならば、まず自国のことをしっかりと理解しなければならないと思った。

そして研修全体を通して、医療、国際協力に対する宗教の役割というものに興味を感じる様になった。またハンセン病を通じて、医療と人権についても学ぶことができた。これらのことについてはこれからも自分のテーマとして勉強を続けていきたいと思っている。

フィリピンでの国外研修に参加できた私は、とても幸運だったと思う。選んでくださった方々に心から感謝している。

 

 

 

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