第4回国際保健協力フィールドワークフェローシップ(F. F. )に参加して
山本真由美(神戸大学医学部5年生)
F. F. の感想にあたって再び研修中の記録や資料に目を通して、F. F. のプログラムは内容がうまく組み立てられ大変充実していた、と感じました。始め国内研修で日本の国際医療協力の話しを聞き、そしてフィリピンで実際活動している現場を見学したり、人から話しを聞いたりしました。研修中は時間的に余裕がなかったため少し消化不良気味であったけれど、後から振り返ってみるとどれも欠くことのできない一こまだったとその重要性が分かりました。今、F. F. での研修が終わり3ヶ月が過ぎた今、再び、研修の意義が身にしみる思いです。
私は様々な国際保健の現場を見学したりする機会に、いつも自分では何ができるのか?何をしたら良いのか?という疑問に対する答えを見つける姿勢で望んでいます。今まで、この答えを見つけるのに、様々な団体の活動内容を見たり聞いたりしてそれをもとに考えていました。
ところで、今回のF. F. でも様々な団体の活動を見学できたわけですが、その活動内容よりその組織自体に触れる機会が多く、今までと違った発見がありました。それは、よい活動をするに「よい組織」が必要とされる、ということです。よいプロジェクはどのようなものかというより、よいプロジェクトはどのようにして生み出されるかが重要で、それを考えるにあたってそれを生み出す組織が重要になってくるのです。あるプロジェクトを行い、成功するにしろ失敗するにしろそれを活かしていける組織が「よい組織」であると思います。
しかし、このような組織はなかなか少ないということに今回の研修で気づきました。大きな組織になると、確かに大きなプロジェクトを行うことができそれがうまくいくととても大きな効果が生まれると思うのですが、組織が大きすぎて硬直化していてなかなか融通が利かないようです。特に、失敗例などはとても今後の改善として役に立つと思うのですが、活かしきれていないようでした。その原因の一つに、成功・失敗を考えるにあたって必要となる「評価」がきちんとなされていないこともあるのではないでしょうか。
今回の研修では「よい組織」や「評価」が重要であるということを認識でき、それを自分の周りに当てはめて考えると全くそのとおりだと思います。医学現場にも当てはまることではないでしょうか?
いつも外国に行って気づく事は、その国の事ではなく日本の事であります。今回はフィリピンに行って、フィリピンの文化や医療などに触れたのですが、私の中にある日本の事と比較しながらそれらの事を見るために、どうしても自分の国の事のほうが気になってしまいます。例えば、スラムの子供たちを見て元気いっぱいだなと感心すると同時に、日本の子供と比較して、日本の子供は確かに物質的には恵まれているけれど本当にそれが幸せなのかしら、とすぐ日本の事に頭が行ってました。時に日本を憂えたり、時に日本を誇りに思ったり、このような感情は日本国内にいると出てこないので、国外に出るといつもこの感情を楽しんでしまうのです。
今回のフィリピンでは、「女性の強さ」という点が日本と異なると強く感じました。一言で言うと「フィリピンの女性は強い」のです。フィリピンの女性の社会進出はすさまじく、病院やお役所のトップに多くの女性が締めています。それだけでなく、町やスラムの「お母さん方の強さ」にも強く感動しました。経済的に苦しい環境でも、何とかして子供や家族を守っていこうとするお母さんたちのパワーは、とても頼もしく、また未来をも明るくするものであると思いました。