国際保健協力フィールドワーク・フェローシップに参加して
北野睦三(近畿大学医学部5年)
そもそも、きっかけはハンセン病について興味があったことと、漠然としかない国際保健について見たいといったもので国際保健に関しての知識はあまりなく(参加して国際保健についてを他大学の人に尋ねると以外と知らない人が多く安心)、語学も堪能とは言えない状態(似たようなレベルの人もわずかながら居り安心)で、生まれて初めての海外に皆さんに迷惑もおかけしましたが、今回のフェローシップの参加は大変有意義なものであった。
国内研修では夜、他大学の学生と意見の交換ができて大変良かった。例えばプライマリーヘルスケアーを実現するためにはまず経済発展のような環境の改善が必要という意見に対し教育の方が大切といった意見があり、さまざまな考えがわかって、皆の真剣な意見は私に良い刺激となった。
海外研修で、フィリピンに着くとそこは車の多い所で、また我々の見なれたファーストフードや立派な建物が建ち並んでおり私が想像してた発展途上国と違っていた。しかし、トンド地区やスモキーマウンテンの人々を見たら発展途上国の発展の陰に隠れて貧困層のつらい立場があり、NGOの頑張りが目についた。
また、NGOの一つであるDAWNは日本に行って日本人男性とつき合って捨てられたフィリピン女性などの自立を支援しているところのだが、日本人男性の身勝手によってフィリピン女性やその子供を不幸にしている現実を見て、同じ日本人男性として恥ずかしさを感じ、もっと真剣にこの問題についても考えなくてはならないと思った。
プライマリーヘルスケアやファミリープランニングにおいてフィリピン保健省や特にその下の各機関の働きは重要で、日本とは違った医療が展開していると感じた。ところでHealth Centerで、お母さんや子供たちから我々は大変な歓迎を受けたのだがうれしく思い、そして、そこで出された家庭料理のお菓子はおいしかったのが思い出として残った。
JICAのタルラクの活動は特に印象的だった。村の人々に保健衛生の啓蒙のために夜それに関するわかり易い映画を見せるのだが、暗闇の中で村の人々が集まって映画を見ている姿はほのかな気持ちにさせられた。このような光景は日本ではみることはないだろう。そして、翌日は学校での保健衛生の人形劇であったが、たくさんの子供たちがカメラを向けると集まってきて、また校庭の光の輝く下で人形劇を見るたくさんの子供たちの姿は今の日本の子供では見ることのない姿であり、すがすがしい気持ちにさせられた。このような仕事に関わるJICAの人の目は輝いており自分もやってみたいと思った。
一方、WHOの研修ではその役割やトップの考えがわかったが、国際的に見たとき病気のプライオリティは死亡数の多い病気に置くとはっきり言われたのはショックで、国内研修での厚生省の方も同じ様なプライオリティの見解を持っており、プライオリティの置かれなかった病気で死ぬのは仕方がないという割り切りが政策をするのには必要なのだろうかと感じたが、何か納得のいくものではなかった。
フィリピン大学(UP)の医学生との交流は私にとって楽しみにしていたものであった。果たしてどんな人が医学を勉強してるのかと思っていたが、UPの医学生は大変な競争率を切り抜けただけあって、彼らは勉強熱心であり、親切であった。また一緒に夜飲みに行ったが気さくで、「混浴入りたい」など我々と変わらない一面を持っており楽しく過ごせた。
今回の研修でこのようなさまざまなことを見て感じたが、このような機会はなかなか無いもので本当に貴重な経験ができたと思う。ハンセン病について理解が深まり、また国際保健についてもさまざまな機関があってその具体的な内容が実際に見ることでよくわかった。そして国際の場で働くためにもWHOのOmi先生が言われた英語を得意にするのではなく、working languageをめざして頑張りながら国際的な視野を持った医師として将来頑張りたいと思った。
最後にこのような機会を与えてくれた関係者の皆さんに本当に心より感謝してます。また、いろいろなことについて話してくれた人々にも本当に感謝してます。感謝の気持ちで一杯です。