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海外研修では、何が必要とされ、どこに着眼点を置くのが最も有効なのかということを見つけ、考え、解決につなげる。そこに不可欠なのは、マンパワーであり、施設であり、道具であり、教育であり、資金だということを学びました。資金というと、「日本人はお金しか出さないのでは?」という疑問が浮かぶかも知れません。しかし、自分たちの力で自分たちの地域をより良くしていっている人たちは、「現地語のしゃべれない日本人医師」よりも「子供を育み教育を与えるお金」が最も必要なのです。使い方のわからない「診断器具」よりも、「子供達に衛生教育をする技術」なのです。日本人自身も、日本人に対して謝った認識を持っています。マスコミの報道を鵜呑みにするのではなく、物事を全体的に見回すことを忘れてはいけないことを、我々の現地で指摘されました。一昔前に言われてたような、「資金は提供するが、人材は提供しない」とか、「国際協力が目的だったはずなのに、自分たちの研究だけして、帰ってしまう」というものです。実際に多くの矛盾点や問題点はありますが、日本もより良い国際保健協力を目指して試行錯誤の段階にあるのです。そういう一場面が残っているとしても、現地でフィリピンの人々に混ざって、子供教育用の人形劇に取り組んだりしている、我々と同年代の日本人の姿を見ると、国際協力の根元が理解できると思います。

研修以前には「医療者としてなにかしてあげれたら」という気持ちでしたが、「お互いはパートナー、医療者は医療という専門をもつパートナーの一員」ということを肌身で感じました。何よりも、この研修で、ユニークで刺激的な仲間と出会えたことを、人生の宝として報告します。

 

 

 

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