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1998 国際保健協力

フィールドワーク・フェローシップ

参加報告

 

Not assist but cooperate

 

江畑亮太(千葉大学医学部5年)

今回このフィールドワークフェローシップに参加したのは、日本とは異なる国の医療を見てみようと思ったからである。現在は自分の将来の進むべき道を模索している段階なのでさまざまな医療の形態を見ておくのは今後の役に立つと思っていた。さらに国内の研修をうける間に興味を持つようになったことが2つある。一つは国際協力をする機関にはWHO,JICAなどの各国政府機関、NGOなどさまざまな機関があるのを知り、それらの相互関係はどうなっているのかということである。もう一つはハンセン病についてである。国内の研修でハンセン病のたどってきた偏見による差別の歴史について学んだ。ハンセン病患者に対する差別は日本に限ったことではないということであり、フィリピンではどのように扱われているのかに興味を持った。また、日本のらい予防法の廃止がなぜ他の国に比べて遅かったのかについてもフィリピンから学べるかもしれないと考えた。

まずフィリピンの医療については病院の設備などは日本に比べるとよくないと思った。診療のレベルについてはよくはわからなかったが、学生はよくものを知っているように思えた。国際機関の相互関係についてはどこかコーディネイトする機関があるのかと考えていたが、明確にそのようなことを行っているところはなく、各機関間の話し合いによるところが大きいようである。

ハンセン病についてはホセ・ロドリゲス記念病院(ハンセン病専門の病院)を訪問した。フィリピンにもハンセン病に対する差別は存在するようだが、その歴史的経過については理解できなかった。

以上のように日本を出発するまえに考えた疑問については明確なことは結局わからなかった。しかしこれまでに見たことのないPrimary Health Careという医療の形態を見ることができたことを今後の学習と活動につなげたいと思う。

今回のフェローシップのなかで多くの人から似たようなことを聞いたが、WHOのDr. Hanの言葉で言うならば、「国際協力はassistanceではなくcooperationである」ということ、「相手の立場に立って考える」ことが重要であるということを学んだ。これらのことは国際協力を一般の診療に置き換えて、これから医師として患者に接する場合にも忘れてはならないことだと改めて思う。

 

 

 

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