立ち退いた元Smoky Mountain住人は現在港の倉庫後に住んでいますが、政府が建設中の公共マンションが完成後はそこへ移る予定です。
この計画では、確かにSmoky Mountain地区の人々はその開発の恩恵を受けることができるのですが、それ以外のその近辺に住むスラムの人々にはその恩恵が行きわたらないので、「なぜSmoky Mountainの人々だけ…」という優遇の差別問題があります。
(意見)「なぜSmoky Mountainの人々だけ…」その恩恵を受けることができ、他のスラムの人たちは無視されているのでしょうか?私はSmoky Mountainがいわゆるフィリピンのスラムとして国外に対して有名であるからだと思います。たとえば、たいていの日本からフィリピンへ行くスタディーツアーでは必ずSmoky Mountainを訪れます。そこのスラムをなくすような開発は、フィリピン政府にとって大きな「功績」として諸外国からも認められるという利点があるのではないでしょうか。ある意味世論の力、といえるかもしれません。
3) NGO活動の成功の要因(2つの地区を比較して)
トンド地区とレベリスタ地区のNGO活動はとても活気があって成功しているように思われましたが、その成功の要因をみんなで考え、以下の3つのような要因を挙げ考察してみました。
1]地元にやる気のある人が多い
2]適役な指導者がいる
3]女性の意欲、それを生かせる環境がある
トンド地区に関しては、そこに住んでいた母親が自分たちの環境に疑問を持ち、それを改善したいと思う人が集まって組織を作りました。一方レベリスタ地区の人たちは、はじめあまり問題意識を持っていなかったのですが、その地区に入ってきたシスター達の影響で問題意識を持ち出し、それらの人が集まって活動を始めました。
たとえやる気のある人が集まっても、それを組織化してまとめるための指導者がいないと、それらの意識を生かす場を作り出すことができません。トンド地区の場合、その地区の教養ある母親が中心となり、レベリスタ地区ではカトリック教会のシスターが中心となって、それぞれの活動を組織化しました。
最も大きな特徴は、女性、特に母親を中心として活動が行われている点です。しかし、トンド地区の女性は家庭にこもっており社会に出て働いてはいないのに対して、レベリスタ地区の女性は男性と同じように生計を担うために働いている点が違います。
(みんなの意見)トンド地区の母親は生計を立てるために働いていないのに対して、レベリスタ地区の母親は生計を立てるために働いていたという点に言及して、トンド地区の母親はあまり意欲的ではないという意見が出ました。
(私の意見)これはそれぞれのコミュニティーにおける社会構造の違いから出ていると思います。つまり、まだトンド地区では父親が働き母親が家庭を守るという家族構造であるのに対して、レベリスタ地区はそれより近代化して母親も父親同様に働くという家族構造が出来上がっていたのではないでしょうか。