の鳥取県中部に位置する農漁村である。赤碕町は,大山町の比較的近隣に位置し,大山町よりも人口はやや多い。われわれは大山町研究と同じアンケート用紙を用い,対象や調査期間などを同じように設定して調査を行った。すなわち,10歳以上の全住民7,955人(男3,773人,女4,182人)に対し,居宅に留め置く方法で自記式アンケート調査を実施した。なお,調査期間は1998年9月14日〜9月21日とした。
国際頭痛学会は頭痛を,片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛といった機能性のものと,頭部外傷,血管系障害,頸・眼・副鼻腔疾患などに伴う症候性のもの,ならびに頭部神経痛に大きく分類している3)。これをもとに,主として地域集団における頭痛の頻度,性比,分類, また,特に有病率の高い片頭痛と緊張型頭痛それぞれにおける性・年齢別特徴,季節・家族歴との関係や誘因,さらに頭痛の型分類の頻度における地域差について検討を加えた。
図1 国際分類による各頭痛の割合
図2 前兆を伴う片頭痛の年齢分布:各年齢階級における人口に占める割合で示した
図3 前兆を伴わない片頭痛の年齢分布
図4 緊張型頭痛の年齢分布
III 結果
アンケートの総回収数は3,368人(回収率42.3%)で,そのうち有効回収数は2,832人(男990人,女1,842人)であった。配布と回収した際の男女比が有意に異なり(x2検定:p<0.01),女性優位だったので,有病率の計算は男女構成を補正して算出した。
1] 頭痛の頻度・性差
頭痛を慢性または反復性に有すると回答した住民は574人で,地域集団の有病率は18.3%と推定された。この時の男女比は,1:2.3で,女性が男性の2倍強の高さであった。
2] 国際分類による各頭痛型の割合(図I)
緊張型に属する症例が半数を占め,圧倒的に高い出現率であった。次いで,片頭痛が約1/4を占め,これを前兆の有無で2型に分けると,前兆のないものの方が多くみられた。群発頭痛は比較的まれであった。なお,片頭痛と緊張型頭痛の合併3)と判断される例も今回の集計では10%強に認められたが,これらに対しては,回答者がより強く訴えている症状を優先していずれかに分類した。
3] 片頭痛の性別年齢分布
片頭痛の有病率は5.2%(人口),性比は男:女=1:3であった。片頭痛の2つの型,すなわち前兆を伴うか否かで,年齢分布は若干異なるとされておりり,このたびの検討でも2型に分けて年齢分布を観察した。前兆を伴う片頭痛においては,女性では,
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