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臨床症状について検討したところ(表1),年齢は平均78.8歳,男女比1:3と,高齢の女性に多かった。特にPMRの発症年齢はリウマチ関連疾患の中で高く,日本人では平均65歳となっているが1)症例2のように89歳での発症は稀であった。また,全例の発症が1月〜3月に集中していたことから,PMRの発症が冬に多いという報告2)とも一致し,PMRの発症の引き金の1つに環境要因,たとえばウイルスなどが関与している可能性も否定はできないと思われる。なお,B型肝炎ウイルスの関与を示唆する報告的も少なくないが,我々の経験した4症例では,HBs抗原は全て陰性であった。筋痛部位に関しては両大腿部筋痛が1例のみと少なく,発熱は全例にみられた。全身倦怠感も4例中3例と頻度が高かった。診断に至るまでの期間は10日から28カ月とばらつきがあった。PMRを念頭に置くようになってからは短期間に診断がつくようになった。

 

表1 患者の背景と臨床症状

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表2 症状出現頻度と検査成績の比較

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次に,我々の4例と西岡ら1)による本邦での60症例,およびChuangら4)による欧米での96例の症状出現頻度,検査成績を集計し比較してみた(表2)。筋痛部位は項頸部,肩甲部,両側上脇部がいずれも50%と多く,日本人患者に特有な両大腿部筋痛は25%と低かった。発熱はChuangらの報告では13%と低いが,我々の症例では全例にみられ,西岡らの報告と同様高頻度であった。発熱は日本人患者に特有の症状であることと一致した。全身倦怠感や食欲減退はそれぞれ3例にみられ,西岡らの71%とほぼ同様の頻度であった。PMRの予後を決める合併症に側頭動脈炎があり,Chuangらでは10%,西岡らで27%に側頭動脈異常がみられたが,今回我々の症例では,血管の組織的検査は行なわれなかったものの,少なくとも臨床的に側頭動脈炎を示唆する所見(頭痛,側頭動脈部の圧痛,発赤,腫脹,拍動の消失)は1例も認められなかった。ただし,PMRとして発症し,1年以上経過してから側頭動脈炎を併発した報告的もあり,今後も注意を要すると思われた。検査成績ではESRが平均103mm/1hrで,全例加齢的変動値を加味した正常限界値の40mm/1hrを超えていた。貧血はChuangらで47%,西岡らで39%と報告しているが,腎性貧血の症例2を除く3例全てに貧血は見られなかった。また,表3に4症例の臨床検査成績をまとめたが,その中で,PMR早期診断のガイドラインの診断項目にも挙げられている項目について,全例α2グロブリンが0.8g/dl以上(正常0.8g/dl未満)と増加し,リウマトイド因子は陰性,CPKは正常であり,血清補体価を提出した3例全例で軽度上昇がみられた。抗核抗体では2例が40倍という弱陽性であったが,臨床的に膠原病を示唆する所見はなかった。我々の4例をBirdの診断項目(表4:7項目中3項目以上でprobable PMRと診断)に照らし合わせたところ,全例が4項目以上(平均4.7項目)を満たし,中でも発症後2週間以内に完成,ESRが40mm/1hl以上,年齢65歳以上の3項目は4例全てに該当した。また,PMR研究班の診断基準(表5:7項目中3項目以上でdefinite PMRと診断)については,4例全てが4項目以上(平均5項目)を満たし,中でも全例にESR40mm/1hr以上,37℃以上の発熱がみられた。更に,欧米の診断基準

 

 

 

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