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動脈の圧痛や腫脹も見られなかった。その他神経学的検査も異常はなかった。

検査成績:白血球4,700/mm3と正常,Hbll.7g/dl,赤沈55mm/1hrで,蛋自分画ではα2グロブリンは0.8g/dlで,CPKは正常,CRP4+,リウマトイド因子(RAHA)・抗核抗体ともに陰性で,補体価は軽度上昇していた。胸部を含む両側肩関節・上腕部のレントゲン所見では特に変形や石灰化,嚢胞形成などの異常は認めなかった。

臨床経過(図1):検査結果が出るまでロキソプロフェンにより多少痛みは軽減していたが, まだ痛みは残っていた。結果を照らし合わせたところ,PMR研究会の診断項目を7項目中4項目,Birdの診断基準でも7項目中5項目を満たしたため,PMRと確定診断した。ロキソプロフェンを中止,プレドニン15mg/日の投与を開始したところ,1週間程度で殆ど痛みが消火し,検査値は速やかに改善した。PSL10mg/日で維持し,その後症状の再燃もなく全身状態は良好である。

 

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図1 症例3の臨床経過

 

症例4:81歳,女性。

既往歴:高血圧症,変形性膝関節症。

家族座:特記事項なし。

現病歴:平成6年4月に37.2℃の微熱を伴った突然発症の項・頸部,上背部,腰部痛あり,他院にて精査したが原因不明であった。平成10年3月23日より全身倦怠感・食欲減退,項・頸部の運動痛・圧痛と2時間程度のこわばりがみられ,次第に増強し運動制限がみられるようになったため3月27日に来院した。

初診時現症:体温37.7℃,項・頸部の運動痛と把握痛のみで熱感や腫脹,筋力低下,筋萎縮はなく,側頭動脈の圧痛や腫脹はなかった。神経学的に異常は見られず, また,明らかな感染徴候は認めなかった。

検査成績:貧血はなく,赤沈は著明に亢進,色グロブリンは定量で0.9g/dl,CPKは正常,CRP5+,リウマトイド因子陰性,補体低下なし,抗核抗体陰性,血清補体価は軽度上昇していた。レントゲン所見上頸椎に異常は認められず,さらに腫瘍マーカー,腹部エコーも施行したがともに異常所見を認めなかった。

臨床経過(図2):当日よリプレドニンを20mg/日から開始したところ,翌日には解熱し,2日後には項・頚部の運動制限も消失し,食事も全量摂取可能となった。4日後には全てのデータが揃い,PMR研究会における診断項目を7項目中5項目,Birdの診断基準でも7項目中4項目を満たしたため,PMRと確定した。1週間後には赤沈の正常化とCRPの陰性化が確認できたため,プレドニンを15mg/目まで減量し,1カ月後も赤沈が正常のままであったため漸減し,現在7.5mg/日の投与で経過良好である。

 

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図2 症例4の臨床経過

 

III 考察

 

PMRは白色人種に多く,従来本邦では稀とされてきたが,それは疾患概念が普及していなかったためにしばしば見過ごされていたと思われる。平成10年1月下旬から2カ月間という短期間のうちに4例のPMRを経験した。我々の経験した4例の背景と

 

 

 

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