資料4の如き返事をメーリングリスト上に出す。そして,メンバーが解読し,資料5のメールを読むということが行われるわけである。
実際のメーリングリスト上の使用法は,個人とは別の暗号のキーを使用し,電子メールを閲覧するコンピューターに組み込み,更に共通の暗号のパスフレーズを使用する。そのパスフレーズを知っている医師がパスフレーズを打ち込むと,それぞれの文章を読むことができ,同様に返答,ディスカッションができるわけである。これは,更に有用な使用法だと言える。この際の,キー,パスフレーズはそのメーリングリストそれぞれで専用となり, またセキュリティが上がることとなる。
また,一般使用する医療機器の分野でも一般利用の電子メールによるデータの交換は可能である。当診療所で使用中のECC解析装置(フクダエム・イー工業,α-8800)にはFDDが装備され,日常のデータも保存,検索できるが,それのみでなく,そのデータを電子メールで送付し,同様の汎用ソフトがあればそのデータをそのまま利用する,ということも可能である。電子メールに添付して送付したECG‐DATAは,相手方が同様のソフト心電図ビュープログラム日本語版V.1.0.2)でそのまま閲覧できる。このデータでさえ,同様に暗号化できる。画像でも,なんであれ,暗号化は可能である。以上,当診療所で病診連携の可能性を広げ,僻地診療所の活力を上げるひとつの方策として,ネットワーク形成に関し試行錯誤で行ってきた結果である。
V 考察
現在の医療では,地域医療,特に僻地医療といえども,単なる標準的な医療知識のみでは需要は満たしきれず,up-to-dateな環境を維持することはなかなか困難であり,かつそちらに注力すると,今度は実際の診療活動,地域医療の遂行にあたって支障がでるというパラドックスがあらわれる。
そこで,近年は遠隔医療とか,電子メディアを利用した病診連携等が脚光を浴びてきているといえる。その,僻地医療における情報支援システムとしては,過去の本論文集にもあるように画像伝送システム1)、静止画像電送システム2)など報告は多いが,近年の機器(ハード)の発達によっても,専用システムの構築は,その効果に応じた費用はそれなりのものとなる。また,地域的な大容量の情報回線,光ファイバーの埋設などを試みている施設もあるが,遠隔地となると,現時点では費用は莫大なものとなる。ソフトに関しても専用ソフトの使用により使用者の負担は少なくなるが,当然,ハードの費用並のソフト価格,使用料を請求されることとなる。昨今の医療関係の経営状況を考えると,小さな僻地診療所での装備はなかなか厳しいこととなる。
その点に関しては,近年のネットワーク環境,インターネットの普及というのは,都市より田舎,僻地における医療活動の支援として心強い味方といえるだろう。
筆者の構築した環境は,結局ISDN回線の維持費