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24時間の血圧効果は入浴日においては,出浴15分後より携帯型自動血圧計TM2421(A&D社)を装着し,30分毎に血圧と脈拍をオシロメトリック法にて測定した。また,入浴日から最低3日以上隔てた非入浴日においても同様に実施した。

データの解析は,SPSS(Statistical Package for Social Science lnc,Illinois,USA)1)を用いたコンピュータにより行い,入浴時の血圧・脈拍の変動についてはFriedman検定を,入浴前後の血中カテコラミン,血装レニン活性,ヘマトクリット,フィブリノゲン値についてはWilcoxon検定を用い,入浴日と非入浴日の24時間血圧変動については,入浴後を4時間毎に区分し,各々の時間帯における収縮期・拡張期血圧,脈拍の平均値をpaired t-検定にて比較した。各々の結果は5%未満を有意差ありとした。

 

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図1 入浴における血圧と脈拍の急性効果

 

表1 入浴における急性効果

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平均値±標準偏差 *p<0.05

 

III 成績

1) 入浴の急性効果

入浴前後における血圧と脈拍の変動を図上に示す。入浴前(-10分)収縮期血圧は128.7±20.8mmHg,拡張期血圧72.5±25.6mmHg,脈拍84.1±12.2bpmであった。その後,受動的シャワーによる洗髪・洗体(-2分)にて収縮期血圧143.3±33.3mmHg,拡張期血圧91.5±24.OmmHg,脈拍90.2±16.4bpmと上昇し,1度目の入浴(0分)にて収縮期血圧は153.6±30.8mmHg,拡張期血圧79.5±22.5mmHg,脈拍87.4±16.5bpmとなり,出浴時(+6分)には収縮期血圧138.4±21.7mmHg,拡張期血圧77.2±23.3mmHg,脈拍92.4±15.lbpm, さらにその後は穏やかに低下傾向を示し,+14分では収縮期血圧121.1±19.lmmHg,拡張期血圧84.0±15.8mmHg,脈子白65.1±14.9bpmとなった。

一方,表1のごとく入浴前後のエピネフリン,ノルエピネフリン,ドパミン,ヘマトクリット,フィブリノゲンはいずれも有意な変動は示さなかったが,血漿レニン活性は入浴後有意な上昇を示した。

2) 入浴の24時間効果

入浴後からの24時間における収縮期血圧について(表2)は,入浴日は非入浴日に比べて低く,12〜16時間(p<0.005)では有意差を認めた。拡張期血圧でも同様に入浴日は非入浴日に比べて低く,8〜12時間(p<0.01),12〜16時間(p<0.001),20〜24時間(p<0.001)では有意差を認めた。脈拍については入浴後0〜4時間では非入浴日に比べて有意に高かったが(p<0.01),8〜12時間(p<0.001)と12〜16時間(p<0.001)では有意に低かった。

 

 

 

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