2. QOLの変化
QOLの評価は各質問の回答を2点,1点,0点にスコア化し,点数が高いほどQOLが良好となるようにした。各項目ごと,および全項目の平均値(総合),大項目別スコア平均値のデイケア前後の比較検討をおこなった。
E. 解析方法
背景因子の群間比較はANOVA検定,治療結果は,血圧の変化を治療前の血圧で補正しANCOVA検定を用いた。血圧の変化は,治療前の血圧値からlヵ月目,3ヵ月目,6ヵ月目,12ヵ月目の血圧値をそれぞれ引いて求め,各群間でANCOVA検定で比較した。血圧国内変動は,dipper型,non-dipper型と2群に分け,それぞれのグループにおいてStudent's paired-t検定を用いて治療前後の比較をおこなった。QOLスコアのデイケア前後の比較はStudent's paired-t検定を用い,危険率5%以下を有意差ありとした。数値はすべて平均上標準偏差で示した。
表1. 患者背景
値は平均値±標準偏差
図1:3グループの12ヵ月にわたる収縮期および拡張期血圧(平均)の推移
図2:デイケアグループのdipper 10人の血圧日内変化
デイケア開始前後の比較:*p<.05、**p<.01
III 結果
A. 患者背景および中止・脱落例
409例はコントロールグループ133例,デイケアグループ136例,降圧剤治療グループ140例に無作為割り付けされた。3群の背景因子を表1に示す。10週までに24例(コントロールグループ7例,デイケアグループ8例,降圧剤治療グループ9例)が,52週までにさらに47例(コントロールグループ14例,デイケアグループ15例,降圧剤治療グループ18例)が途中,中止・脱落した。中止・脱落の理由は,血圧コントロール不良によるもの33例(コントロールグループ12例,デイケアグループ14例,降圧剤治療グループ7例),降圧剤による副作用によるもの8例,他の疾患の発症によるもの4例(コントロールグループ1例,デイケアグループ1例,降圧剤治療グループ2例),原因不明で患者が来院しなくなったもの26例(コントロールグループ8例,デイケアグループ8例,降圧剤治療グループ10例)で,中止・脱落者は3群間に有意差は認められなかった。また,3群間において,試験開始前の血圧,心拍数,体重,BMI,年齢に有意差は認められなかった。降圧剤治療グループは,アムロジピン83例,エナラプリル87例,サイアザイド15例で,22例で2〜3剤の降圧剤を投与した。
B. 血圧の推移
観察期および12カ月後までの各群の血圧の推移を図1に示す。表2,3に観察期の血圧で補正した収縮期および拡張期血圧の変化の絶対値を示す。デイケアグループと降圧剤治療グループは両群ともコントロ
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