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表(13) 水泳の利点

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表(14) 海水浴の利点

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表(15) Talassotherapy

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3) 学習の作用:消極的な喘息児であっても,繰り返される日課は強い環境刺激となって,受動的にレスポンデント行動を引き起こし,不適応行動を消去して適応行動を学習させる。先に治療集団に入ったものは後から入るものの学習見本である。

3. 海水浴と海洋療法

喘息児の鍛錬は,運動誘発喘息(EIA)の起こりにくい条件下で行うのが望ましく,この点で水泳は最も適したスポーツで6)理由として表(13)が考えられる。

海水浴および遠泳はさらにそれを強化したもので,表(14)の利点が考えられる。

水泳の運動負荷量では平泳ぎはクロールの2倍であり,スピードが速くなるほどその倍率は高くなる。又海面では,高波やボートとの接触事故などを防止するためにも前方視野を確保しなければならないので,われわれは専ら平泳ぎを用いている。

遠泳は同じリズムで長距離を長時間かけて行う有酸素運動である。われわれはこれを20年間行ってきたが,就学前の幼児でも1kmを泳ぐことが出来るし,40〜50名の入院患児達は殆ど2kmを完泳してきた。多数の伴泳者や救護艇が必要なことは一般の遠泳の場合と同様であるが,学期末の退院日に合わせて行うので,病院の前の海で保護者の眼前で声援を受けながら泳ぐことの意味が大きい。

喘息児の寒中水泳も同様の主旨で行っているが,血中コーチゾルの変動測定の結果では,遠泳がmijor stress的に作用して副腎機能を賦活するのに対し,寒中水泳はmajor stress的に働くようで,時間も距離も短く実施するように心掛けている。

海洋療法タラソテラピー7)は海水,海の空気,海産物など海の全て(表は15)を病気の治療と健康増進に役立てようとする療法である。欧米で盛んに行われているが,近年わが国でも流行の兆しがあり,海洋療法学会も結成されて活動ぶりが目立ってきた。

海水は比重が大きいので,真水の中に比べて海水中では体重が2.5分の1になり,心理的リラックスの為の浮遊にも利用される。

 

表(16) 入院後のIQ変動,N:49

(第1回〜第2回,学年別)

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