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ので,喘息体操は桑野スミエ氏指導の棒体操を主とした第一と,NHK智念かおる氏指導のエアロビクスを主とした第二とがあり交互に行っている。毎日水泳を行うのが特色で,退院して原籍校に復帰後は水泳やシンクロナイズドスイミングの選手を志すものが多い。

ファミコンやテレビと無縁の日常生活の単調さを防ぐために,さまざまな年間行事を実施している。表(9)は平成10年度のものである。行事のうち登山や遠泳,寒中水泳,祭り見物などは患児の家族も含めて行っており,親子の絆を強めるのに役立っている。このほか病院前での釣りやタコ捕り,貝掘り,磯遊びなどは随時行っている。

各学期末には退院式があり,10数名の退院者と病院に残る者との感激的な交流がある。

 

表(7)

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表(8)

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表(9) 喘息センター年間行事

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D:プログラムの基礎的事項

1. 親子離断術(Parentectomy)と親子接合術(Parentostomy)

人は成長に伴って心理的環境は刻々と変化してゆくものである。表(10)は人の心理的位置を家族関係の中で示したものである4)

1) 胎生期は母親の子宮の中で安定しているが,母親のストレスや外部の音響の影響も受けることが最近判ってきた。

2) 新生児期には父親との関わりが出はじめる。

3) 乳児期には自我が芽生えてくる。

4) 幼児期には自他の区別がつくようになり,家族のサークルに入っていこうとするエネルギーが生まれる。3〜4歳頃の第一反抗期である。

5) 学童期は身体と精神のバランスが良く保たれ,コミュニティーのサークルに出て行く。友達との交流も増えてくる時期である。

6) 思春前期は性ホルモンの分泌が盛んになり,理想は高く,現実を見つめる能力はまだ低く,子供と大人の役割が混乱する,いわゆる第二反抗期である。同一視の対象として,又は敵視の対象として親の存在が重要になってくる。

7) 思春後期は二次性徴が明瞭になり,身体の成長と精神の発達のアンバランスが最も顕著になる。個人としてのエネルギーは大きくなるので,反社会的行動も突出したものになる。

 

 

 

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