日本財団 図書館


このように考えると、日本の補聴援助をする専門家が、今の組織だてで大丈夫なんだろうかと、この役割はどこが担っているか、不安になってきました。藤田先生も、心のカウンセリングがないと補聴カウンセリングでつまり自分は難聴者であるから、難聴の支援をして欲しいという安定した気持ちが得られないといっておられましたがそういうことを見ると、補聴器店がしてくれるんだろうか、補聴器技能者がそれをやってくれるんだろうか、期待できそうもないと、それでは、立入先生の話では聾学校の担当の人がやってくれそうだと話がありましたが、ろう学校の先生が今言ったようなコーディネータ、支援専門員、バリアフリー相談員を担ってくれるのかなっていうと確定できない。言語聴覚士がALDコーディネータをやってくれるか、ALDコーディネータ、心の相談員をやってくれるかどうか、それも未知数であります。

STの法制化を考えると、「聴覚」というのが弱いのでないかな、という心配が正直、相当の人が思っている。それじゃ大学、愛媛大学だとかが持っているオージオロジーの研究室、聴覚、補聴の研究室が、今言ったコーデイネータ、相談をやってくれるかというと、それほどの覚悟は、全国の大学ではなさそうですね。そんな風に考えていくともう一つ、補聴器のキーパーソンがいるわけですけど、各県に1名ずついる名前を見てゆくと、どうもえらすぎる先生が並んでいる。偉らい先生が、現場の問題に取り組むかというと、これも現実味が乏しい。ここで先生方にお聞きしたいんですが、遠藤先生は戦略が必要と考えているようですが、全国的に一気にやろうとお考えではないでしょうから、先生は、この問題を具体的にはあと何年後にどの程度のものと見通しをお答え頂きたい。小島さんには、バリアフリーの相談機関が具体的にどんな形でやれるのか、提言があればお話いただきたい。まず遠藤さんから。

遠藤/私の強調したい第一は、補聴援助専門員よりは、このような会場への設置の義務つけ、肢体不自由者に対するハートピル法のような制度化を入れるべきというのを一番に強調したい。

二番目には、難聴者教室というか補聴教室の必要性というのを前から言ってるんですが、今、大沼先生が尋ねられた問題は、私があげた三つ中の補聴教室開催事業と、補聴援助専門員の二つにまたがっています。私は一年に90件位は頼まれて、徳島だけでなく、全国の各地でループをつけています。殆どの場合下見にも行っています。私のやっているような仕事は補聴器キーパーソンとか、STあるいはろう学校の先生では無理と思います。補聴器を広げて行くためには、補聴器のことも学ばなければならない。ループにしたって、ループの機械のハードの方だけでなく、受信機のことも学ぶ必要があります。今は社協さんが熱心です。行政の地方分権も考えなければならないわけで、わたしは自治体と社協を巻き込む形にすることが大切と思います。それから補聴援助専門員には幅があります。使用の知識があって、ろうあ相談員と手話通訳者を合わせたようなものがあってもいいと、前から考えていたわけです。どれだけALDS、赤外線なんかが入っても、それから難聴者教室というものなど、法律としてはいっても、やはり拾い切れない面があるので、補聴援助専門員、補聴援助専門というオーバーな表現でなくてもいいんですが、ボランティアでは無理だと考えます。補聴支援専門員はそれほど広い知識や技術はなくても大丈夫です。2年以内をめどに、設置の問題は考えたいですね。中途失聴者には要約筆記があり、ろうあ者には手話があります。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION