日本財団 図書館


061-1.gif

 

藤田/藤田です。精神科医で、聴覚障害者の精神保険相談してます。そのへんの経験をふまえ、詳しくというと沢山になるので、資料を読んでいただきたいと思います。あたりまえのことですが補聴器や補聴支援システムには立派なものができてますが、利用者は難聴を持ってる人です。普通の生活をしているということを、重くみていただきたい。人工内耳のマッピングとかの問題だけでなく、日常のコミュニケーションも大切です。各自の生活の場、職場があり、コミュニケーションが、人間の活動として必要ですので、コミュニケーションが障害されると心理的に精神医学面でも多くの問題を生じてきます。非常に多様な問題をはらんでいます。一概には言えませんが幼児に対する人工内耳の詳しい話がされました。脳の発達に影響してきます。健聴者との違い、特徴を、本人が知ってなければ社会とかの協調が難しくなります。

認知の仕方や行動様式が違ってきて、社会に適応しにくい状況が考えられます。一般的にコミュニケーションには心の安定が必要です。もう一つは、聴く意欲です。それが重要だと思います。例えば聞く意欲にしましても、聞く意欲が損なわれる原因はいろいろありますが、環境や心理社会的な要因で考えないと難しいと思います。とにかく色々良いものができましたが、リハビリを効果的に活用するには、専門家が詳しく難聴者の事を聞き、相談にのる必要が有ります。難聴者の心理的背景を理解する専門家がいないと補聴援助システムを活用することが出来ないと思います。それから、私は人工内耳には沢山の経験があるわけではないのであまり言えないのですが、人工内耳は今までは難聴になって長い期間経った方が受けています。そういう人の場合、聞こえが回復することを一旦は諦めたが、適応範囲の拡大で可能になったという実情があります。いろいろ治療を施して回復しない場合、もう治らないという場合はすぐに手術を受けますが、受けとり方が違う可能性があります。たとえば事例で紹介したように、急に聞こえなくなって、回復が見込めないという時、聴力の回復にこだわる難聴者のその気持ちは分かるが、人工内耳が難しいことをはっきり断るのも、医師の責任、インフォームドコンセントと思います。健聴になるとは思ってないでしょうけど、延長線上にあり、人工内耳に対する受け取り方も違ってくると思います。さきほどろうの方と思いますが、「仲間を裏切る」という問題は、あそこまでいかなくても人工内耳を考えている方にもあるかも知れない。そのへんの問題は手術前にその人の人工内耳にかかわる心理的な問題など、きっちり受けとめて援助していく必要が有ります。さきほどありましたが、聴力が同じでも、聞こえが違うこともあります。精神的な問題が関わるときに非常にはっきりしてくる。一般の方も同じです。ストレスの多い人は、なにか出来事が起こったとき、聞こえのしかたも違ってくる。心理的な、聞こえを修飾する要因も沢山ありますので、それを適切に整理し、補聴器を適合したり、援助システムを設置したり、することが必要になってきます。以上です。

 

大沼/ありがとうございました。ちょっと私の方から、それぞれの方に共通してお聞きしたいことがあるので聞いておきますが、特にALDSコーディネータという考え方を遠藤先生も出されておりますしね、これは、遠藤さんの言葉で、補聴援助専門員、立入さんのコトバでコーディネータ、同じですけれど小島さんも、バリアフリーの相談所が必要と。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION