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当分は各地の聾学校にいる聴能担当者がALDコーディネータとして働ける可能性があるのではないかと思います。以上です。

大沼/ありがとうございました。引き続き遠藤さんからお話いただきます。

 

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遠藤/徳島の遠藤です。よろしくお願いします。

詳しいことは資料集と御手元に配布したパンフレットを見てください。私たちの会合では「ゆっくり」「はっきり」ということがよく言われますが、そればっかり言っておられないと思います。情報量の豊かな時代であるからです。ちょっと早口でしゃべらせてもらいます。私は3年前でしたが、同じく日本財団の援助事業で行った宝塚シンポジュウムでも意見を述べさせてもらいました。その時は、「何よりも聞こえの確保を!」と題して、人工内耳を中心にして、徳島県におけるALDSの取組をお伝えしました。私の知識の80%は立入先生の受け売りでして、本の名前は忘れましたが、立入先生が徳島県立ろう学校から出された本は暗唱できる位読んだものです。健聴者の耳のきこえは、幅が広いが、私たちは聞こえの幅が狭いので、諦めたら駄目です。狭い聞こえの耳で音を捉えるには積極的にとことん、徹底的な追求が必要である。音が悪ければ、何故悪いか追及すべきです。そうすればほとんどの場合は解決できると思います。難聴者が必要である聞こえを確保し、出来るかぎり自立した生活を維持するために、特に大切と思われるのは補聴援助システムの普及であると考えます。しかし、一向に改善の兆しが見えません。普及が遅々として進まないのは肢体不自由者や視覚障害者のバリアフリーに大きな力となっているハートビル法にあたるもの、即、普及のための根拠法令が無いことが大きな原因と考えられます。ハートビル法には、当然、難聴者の自立と社会参加を促進するための条文も加えられるべきだったと思います。

が、残念なことに身体障害者の社会参加促進の根拠法令から難聴者は完全に難聴者桟敷にされてしまったのです。また、手話や要約筆記は、国の社会参加促進事業に入っているのに、聴覚障害者の圧倒的大多数を占め、高齢化社会で非常に重要性が増している難聴者のコミュニケーションの確保に係わる補聴に関する根拠法令がありません。「バリアフリーの福祉の町づくり」ということが全国の津々浦々でも聞かれる時代ですが、公共の建築物の多くには、補聴援助システム(=ADLS)は設置されておらず、全国的には今なお補聴援助システムなしの豪華な建物が平気で作られています。だから、我々としては、他の何をおいても、そろそろ根拠法令の制定に立ち上がる時にきていると思います。高齢化社会を迎え、補聴援助システム(=ALDS)や補聴問題の重要性も少しずつではあるが知られるようになってきました。実際、都道府県市町村などの自治体や社協などでは、手話や要約筆記などでは解決できない補聴問題の重要性に気づいているようです。全難聴や各県の難聴者協会など受益者からのアプローチを待っているように感じることが多いです。 しかし、当事者の私たちが、「補聴環境の整備改善なんてことは実現不可能と諦めきっている」というのが現状であり、甚だ不満です。現在、全国で運動が行われている「聴覚障害者差別法令の撤廃」については、他府県と同じく徳島でも関係団体が一緒になって徳島駅で署名・カンパ集めをするとともに、国会に対して法律の改正を求める請願を出します。

 

 

 

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