3. 私たちの情報保障
私たちが求める情報保障としては、大きく分けると以下の三つがあります。
1)補聴器又は人工内耳で音声を聞き取る人のための補聴援助システムの設置
(補聴器、磁気ループ、赤外線補聴システム等)
2)全く聞こえない人のための、文字表示による情報伝達システム
(文字放送・字幕放送受信機、文字表示装置、パソコン入力による情報表示)
3)要約筆記者等の手書きによる文字情報、パソコン要約筆記、手話通訳者の手話による情報
実際には、それぞれが独立するのではなく、文字・字幕を見ながら音声を聞いたりするトータルコミュニケーションによって、私たちの情報識別度が上がります。FM補聴器、磁気ループ、赤外線補聴システムなどの補聴援助システムで、音声を聞きながら字幕放送を見れば、話を理解しやすくなります。私の場合、約100dBの残存聴力しかありませんが、赤外線ヘッドホンで音声を聞きながら、字幕付のドラマの文字を確認することが聞き取り訓練になっているように思います。
4. まちづくり条例に反映して欲しいもの
中途失聴・難聴者のために、福祉のまちづくりに反映して欲しいものを列挙してみますと、以下のようなものがあります。
1)音声拡大装置付きの公衆電話をさらに普及する。
ISDN対応の公衆電話がかなり増えましたが、まだすべての場所にとはいきません。
2)行政の待合室や鉄道の駅に公衆FAXの設置を拡大する。
私鉄や、地下鉄のいくつかの駅に置かれてますが、JRの駅では目にしません。
3)公共施設に電光文字情報表示装置を設置する。
主要駅に、電光掲示板として案内などがありますが、あまりにも少なすぎます。
4)火事などの緊急時に、点滅して知らせる緊急避難用の文字表示装置を設置する。
緊急放送が聞こえない聴覚障害者のためには、無くてはならないものです。
5)ホテルや旅館に振動又は点滅して知らせる文字表示装置を設置する。
内線電話では、フロントからの連絡が聴覚障害者には分かりにくい。
6)劇場に磁気ループ席、又は赤外線補聴システムを設置する。
中途失聴・難聴者の約半数は、補聴援助システムが設置されていれば、ある程度の聞き取りが可能です。全くの音声無しより、少しでも有ればどれだけ助かるかを、当事者の私たちがアピールするしか有りません。
7)公共機関やデパート、劇場などに手話と要約筆記のできる社員を置く。
5. 大阪の補聴システムの現状と試行
私たち難聴者団体の集いや会議などの情報保障は、要約筆記の他に補聴援助システムの一つとして磁気ループは、必需品です。また、年に一度の難聴者大会等や、時折開かれる音楽会、観劇などの招待を受ける時には磁気ループのソナール(株)や赤外線補聴装置の(株)アキトのご協力を得て会場内に仮設して使わせてもらっています。