補聴器とフィッティング
東京都 小野 宏
いま私の補聴器は
補聴器でどの程度聞こえればよいのか。相手の話すことがすべてとはいかなくてもほとんど聞き取れればまずうまくフィッティングできているといえると思う。
私の場合、聴力は両耳100dB域を上下しており、補聴器で聞き取れる限界に至っている。現在はイヤーモールド(耳せん)から2メートルのコードをポケット型補聴器にぐるぐる巻きにしてあり、聞き取りが大事なときはコードを延ばして相手の方にポケット型補聴器をマイク代わりに口元に持って話していただく。これだとまずほとんどの方々の話は聞き取れることができる。
ビジネスコンサルタントの仕事に従事している。大抵はファクスとか電子メールで用をたしているが面談しての打ち合わせがときに必要となる。会議室で大机を前にして向こう側に数人が座っている場合、2メートルのコードを限度いっぱい延ばして話す方々にマイク(ポケット型補聴器)をまわして話していただく。難聴とか補聴器などに知識のない健聴の方々であり、手にされているのが補聴器とはご存じなく「便利なマイクがあるのですね」などと言われる。
極力ゆっくりとはっきりと話してください、とお願いはする。ときについ早口になるときは、もう少しゆっくりと、お願いしたりもする。それでも相手の方のしゃべり方によっては鮮明に聞き取れない場合がどうしてもある。10人に1人ぐらいはそういう方に出会う。健聴の人に聞くとその方の言葉は聞き取りにくいところがあると言われる。
現在はこうした方式で、私単独での行動範囲もいささかは広げることが可能となっている。相手と差しでお目にかかる場合などは場所に応じてコードを必要な長さに延ばして口元で持って話していただく。まずこれで大丈夫である。口元で話していただくため周囲の雑音はほとんど入らずかなりはっきりと聞き取れる。
そして要約筆記者の支援を得て
この方式を始めて4年余りとなるがそれまでは相手の方に筆談してもらう必要があった。一般社会で常に筆談してもらうことなど不可能であり、きちんとした対応が必要な場合はたえず個人的に要約筆記の方のお世話になった。
要約筆記の方のご支援を得なかったなら、私はこの社会での活動をもうあきらめて蟄居を余儀なくされていたと思う。
現在でも重要な打ち合わせのさいは、マイク(ポケット型補聴器)で話し合っているさいも要約筆記者の同席をお願いしている。聞き取りに誤解がないか、要約筆記の方にチェックをいただいている上に、打ち合わせの議事録が結果として残ることになる。
これはたいへんありがたい。何を話したかは記憶していても後で記録をみることで、どういうときに相手の方がこういう発言をされたかを知ることができ、打ち合わせの意図というかそのときは気が付かなかった問題…を後でより認識することができる。
また官庁との折衝とか、相手の立場によっては口元で持って話してください、などとは到底言い出せない場合も現実として多くある。こうした場合要約筆記の方のご支援は欠かせない。