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2-2. FM受信機方式

 

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[表:FM補聴システムのバリエーション]

 

従来の補聴器や人工内耳にFM受信機を加えることで、FM補聴システムを組むことも可能です。この方法の場合、FM受信機と補聴器や人工内耳とを接続する方法を選ぶ必要があります。1]1つはタイループを使う方法。これは耳かけ形補聴器の場合で、難聴がおよそ80dBより軽い場合に使用します。2]次にシルエットインダクタを使う方法。これは耳かけ形補聴器や耳あな形補聴器の場合に使うことができ、難聴が重い場合でも使用できます。1]のタイループや、2]のシルエットインダクタは、首や耳に掛けるだけでよく、装着が容易です。しかし、磁気誘導させるために音質が変わってしまう欠点があります。また、補聴器にMTミキシング機能がないTスイッチのみの補聴器だと、自分の声や自分のまわりの環境音が補聴器に入ってこなくなります。このことが問題になる場合は、MTポジション付きの補聴器を選ぶ必要があります。3]は外部入力端子(オーデイオインプット)を利用し、直接、FM受信機からの信号を補聴器に入れる方法です(図:FM補聴システムの仕組み参照)。
人工内耳の場合にも、外部入力端子による接続が利用できます。この方法の場合は、まず補聴器自身に外部入力用の端子がなくてはなりません(人工内耳の場合は、スピーチプロセッサに外部入力端子が付いている)。外部入力端子が付いていなくても、多少の改造で対応できる器種もあります(耳あな形補聴器の場合でも、一部のメーカーで対応できる器種を用意しています)。補聴器の外部入力端子には、オーディシューといわれる器種ごとの用意された専用部品を接続しますが、この部品は小さく、接合には器用さが要求されます。その一方、FM受信機と補聴器や人工内耳は電気的に接続されるために、音質が良く、音が確実に補聴器や人工内耳に届くと言う利点があります。1]〜3]のどの方法にも共通した欠点として、装着する部品点数が多いことがあげられます。部品が多ければ故障も多く、また、故障の際、どこが故障しているのかがわかりにくいのです。

FM補聴システムは、講演会や教会に行く場合はもちろん、家庭内(外食・ドライブ・レジャー・少年野球の時など)でも効果を発揮します。単に話し手にFMマイクを付けてもらうだけで機能し、大がかりなセッティングが不要だからです。また、ループシステムに比べ、音質が良いのも特徴です。今後、一層の広がりが期待できるシステムです。

 

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[FM補聴システムの比較表]

 

 

 

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